ブレッドナイフ(パン切包丁)を、ちょっとこだわって作ってみました。Vol.1 (くじら亭のミニチュアものづくり)

新年あけましておめでとうございます。

昨年後半はパンシリーズでしたが、
その続きとして、今回からブレッドナイフ(パン切包丁)の作り方を紹介します。

私は、元々プラモデルが趣味だったこともあり、
金属かプラか、(ゴミの分別じゃないですよ)と思ったときには、
とりあえずプラスチックで作っています。
バゲットの記事の写真に少し登場していたブレッドナイフも、プラ板で作ったものでした。

ただ、以前プラ板で作ったブレッドナイフは、結構作り方が難しく、
ちょっと記事にするわけにはいかないか、と思っていました。
プラ板だと素材に粘りがないので、波刃の部分をやすりで成形しているときに、ポロリと取れてしまったりします。
(TOPの写真の一番奥のブレッドナイフがプラ板で作ったものです。)

ところが、試しにアルミ板で作ったところ、アルミ板だとそのあたりの問題がなかったのです。
以前の苦労は何だったんだ!という感じです。
(手前のカッティングボードに乗っているもの。奥が試作品、手前が今回の記事で作るものです)

ということで、応用コースを終わられた方なら頑張れば作れると思い、今回記事にしてみました。

※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。


原材料のアルミ板(0.3mm厚)をマスキングテープで固定します。

0.3mm厚のアルミ板をマスキングテープで固定します。
幅は余裕を見て5cm程度です。

この時、金属製の定規を、波刃を付ける部分に沿って固定します。

目打ちで1mm間隔に穴を開けていきます。

1mm間隔で、定規に沿って目打ちで穴を開けていきます。

目分量でやると、必ずずれてしまいますので、スコヤを使います。

金属の定規は、メモリの部分がわずかに溝になっています。
これは目盛りのインクが擦れて消えないようにするためだと思います。
ライオン社製とコクヨ社製の金属定規を持っていますが、どちらもそうなってます。

この溝を利用します。

1)定規の目盛りの溝の部分に目打ちを当てます。
2)固定した目打ちに、スコヤを合わせます。この時、スコヤの台の部分をカッティングマットの縁にピッタリと合わせます。
3)そのままスコヤを固定しておいて、目打ちを、スコヤ沿いに定規から降りた部分にずらします。
  (下の写真の楕円の部分ですが、分かりにくいかも。スコヤと定規の交差点の部分のアルミ板に目打ちを当てています)
4)そのまま目打ちをアルミ板に押し付けます。

穴が開いたら、定規の1ミリ横の溝で同じことを繰り返していきます。
今回の作例では、20個の穴を開けています。

この時、目打ちの角度があまりずれない様に注意してくださいね。

一定間隔で直線に並んだ穴を開けることができます

すると、下の写真の様に、一定間隔で直線に並んだ穴を開けることができます。

定規を当てて目視では、ここまできれいに揃いません。
ここをそろえるのが、きれいな波刃を開けるコツです。

そして、目打ちで開けた穴を広げていきます。

そして、目打ちで開けた穴に0.8mmのドリル刃を当てて、穴を広げていきます。

この、0.8mmというのが絶妙で、1.0mmのドリル刃だと、穴の両側が隣の穴とつながる瞬間にドリル刃がずれてしまい、きれいに開けることができないからです。

ミニチュアフード用のドリル刃は、0.5mm、0.8mm、1.0mmぐらいは持っていると便利ですね。

私は、プロクソンの「0.5mm、0.8mm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、1.6mm」のセットを使っていますが、
(0.5mmは早々と折れてしまいましたが)現在はどうやら廃盤になっているようです。

ブレッドナイフの形を油性ペンで書きます。

波刃の元ができたら、それに合わせてブレッドナイフの形を油性ペンで書きます。

書いた形に添って切り抜きます。

書いた形に添って切り抜きます。

切り取るときは、私は、タミヤ社のエッチングばさみを使っています。
鋏だけで入り組んだ部分まで切り取ることができるので便利ですね。

このぐらいまで切り取っておくと、やすり掛けをする量が減るので、良いと思っています。

アルミ板を傷つけない様に、平やっとこにマスキングテープを貼り付けておきます。

アルミ板はをまっすぐにしたり、細かい作業で保持するのに、平やっとこが便利です。

通常、金属をつかむのに、ペンチやプライヤー、細かい作業ではラジオペンチを使うのですが、これらは挟む部分に滑り止めのギザギザが付いています。
アルミ板は金属の中では比較的柔らかいので、これらでつかむと傷がついてしますので、絶対ダメです。

ですので、アクセサリーを作るときによく使う平やっとこが便利です。
ただ、この平やっとこでも、端っこの部分で段差があり傷がついてしまうので、それを防ぐために、マスキングテープを挟む部分に貼っておきます。

また、ラジオペンチの中には、合わせ目に取り外し式のプラスチック材料がついているものもあります(例えば、タミヤ社のノンスクラッチラジオペンチ)。(これだけの為に買うのももったいないので、今回はマスキングテープで済ませていますが)カトラリー等を良く作られる方は検討されてもよいと思います。
平やっとこと同じ形をしたもので、タミヤ社のエッチングベンダーというのを持っているのですが、試したところ、傷のつき方は平やっとこよりはるかに少なかったので、縁の部分の形状が違うのかもしれません。

平やっとこで、反り・曲がりを修正します。

平やっとは、こんな感じで使います。

まずは、曲がっている部分や、鋏で切った際にできた縁の部分の反りをまっすぐにするのに最適です。
写真の様な感じで挟んでは数ミリずらす、というのを繰り返して端から端まで挟むと細かい波打ちが取れて、結構全体がまっすぐになります。

平やっとこで、やすり掛けの時の保持もできます。

やすり掛けの際、やすりをかける部分のできるだけ近くを保持する必要があります。

というのも、やすりをかけたときに、金属はしなるので、
力が逃げてうまく削れなかったり、削り面が丸まってしまったりします。
また、金属の曲げ延ばしを繰り返すことになるので、最悪金属疲労を起こして折れてしまいます。

それらを防ぐため、平やっとこでやすり掛ける部分のできるだけ近くで保持することが大事です。

なお、金属を削るときは、金属用またはエッチング用やすりを使ってくださいね。

波刃の部分は、タミヤ社の円錐型ビットを手で持って削っています。

波刃の部分は、写真の様に、タミヤ社の電動リューター用ビット5本セットの内、円錐型ビットを手でもって削っています。
本来電動リューターに取り付けて使うものなのですが、このビット、ダイヤモンドやすりで結構品質が良いものなので、手で持ってもアルミぐらいだと十分削れます。

波刃の部分を仕上げて、大まかな形ができました。

波刃の部分を仕上げて、大まかな形ができました。

これで、ブレッドナイフの刃の部分の元が出来上がりました。結構気を付けて加工したのですが、それでも傷が目立ちますね。
次回以降で、持ち手の部分を付けたり、波刃を含め金属部分をもう少しきれいに仕上げていきたいと思います。

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