フルーツタルトを飾ってみました Vol.2 (くじら亭のミニチュアものづくり)
前回塗装をしたテーブル、そのままだと「新品のアンティーク家具」になってしまうので、今回は経年変化を感じるような塗装をしていきたいと思います。
その後、TOPの写真にあるケーキスタンドも作り出していこうと思います。
※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。
目次
まずは墨入れを行います。
プラモデルやドールハウスを作る方とお話しすると、ウェザリングとか、エイジングという言葉を時々聞くことが有ります。
どちらも別物ではなく、太陽光線や風雨にさらされた経年変化を表現する塗装方法なのですが、プラモデル(特に戦車)だと、ほこりや泥汚れといった汚し塗装も含んでいます。
また、経年変化では無いのですが、陰影や光の当たり具合の表現もこの中に含まれる場合が有ります。
今回は、テーブルが主役では無いので、新品感が無くなればいいという程度に軽くおこないたいと思います。
ということで、まずは墨入れを行います。
墨入れは、本来は飛行機や戦車の鉄板の継ぎ目等を強調するために、薄めた黒やこげ茶色を流し込む手法なのですが、今回は、凹になっている部分に汚れがたまった想定で、薄めた茶色の絵具を塗っていきます。
上手くいくと、薄めた絵具を含んだ筆を凹んだ部分にあてるだけで、毛管現象で伝わる場合も有ります。ダメなら、面相筆で塗っていきます。
はみ出た部分は、綿棒で拭き取っておます。
天板の退色表現を行います。
アンティークな家具の雰囲気を出すため、天板のところどころが太陽光によって退色して白っぽくなったと想定して、白を薄く塗ります。
やり方は簡単で、やや薄めの白の絵具を塗って、すぐにティッシュペーパーで拭き取っています。(写真は塗った直後です)。
すると、かすかに絵具が残って、退色した感じが出ます。
元の家具の塗料や木によっては、退色して色が濃くなる場合もあると思います。
正解は無いので、自分のフィーリングでやればいいと思っています。
アップにした写真です。
アップにした写真です。
くっきりと白い部分は無いのですが、なんとなく場所によって色が違って、使い込んだ感じが出ていると思いませんか。
ウェザリング自体は主役では無いので、いかにもウェザリングしました!という感じで目立たせるのでは無く、そういえばウェザリングされているな、と思う程度に塗るのが大事な部分だと思っています。
ちなみにウェザリングを施したプラモデルの例をお見せします。
ちなみにウェザリングを施したプラモデルの例をお見せします。
これは5年ほど前に私が作ったプラモデルです。
想定としては、「結構使い込んだ工事車両で、工事の直前に洗車はしたのですが、錆びや傷はそのまま」という状況です。
ローラーの錆び、エンジンフードのこびりついた汚れや、車体のところどころの傷といったものを塗装で表現しています。
プラモデルの場合は、工事車両が主役ですので、ここまでやっています。
私もそうだったのですが、ウェザリングを知ったばかりのときは、汚しすぎてしまいがちです。
大事なのは、「汚す」ことではなく、「経年変化や汚れを表現する」ことなので、きたなくならない様にしましょう。
ウェザリングが完成しました。
白の退色だけでは寂しいので、ウェザリング専用塗料であるクレオス社のMr.ウェザリングカラーで、こげ茶やグレーを少し追加しています。
使い方は簡単で、面相筆で少し塗って、すぐに薄め液(ソルベント)を付けた綿棒で拭き取るだけです。
ほんの少しだけ塗料が残ってそれが良い感じになります。
ということで、テーブルのウェザリングは完成ということにしました。
TOPの写真の様なケーキスタンドを作成していきます。
TOPの写真の様なケーキスタンドを作成していきます。
小さな球が周りに並んでいるケーキスタンドってありますよね。
雰囲気が有って良いのですが、作り方が判らないという方も多いと思います。
実はこれが結構簡単に作れますので、その方法を公開します。
まずは、1mm厚のプラ板から、直径24mmの円板をきりだします。
プラ板から円板を切り出すときは、オルファ社のサークルカッターを使うと便利です。中心の点を目打ちを使って裏側まで通しておくと両面からカットできます。
プラの円板の周りにエポキシパテを盛ります。
クリアフォルダーの上にプラの円板を置いて、周りにエポキシパテを盛ります。クリアフォルダーを置かないと、カッティングマットにエポキシパテがくっついてしまうので、必ずクリアフォルダーを敷いてください。
エポキシパテは、下の写真程度に持って管愛。(少し多い位ですが...)
2mmの無穴パールを円盤の周りに配置していきます。
2mmの無穴パールを円盤の周りに配置していきます。
無穴パールをプラ円板に接するところまで、ギュッとエポキシパテに押し付けます。
順番に押し付けていって、はみ出たエポキシパテはその場で爪楊枝等で取り除きます。
最後まで無穴パールを押し付けた時、隣との間の隙間ができたら全体をちょっとずつずらして等間隔になるようにします。
タルト台の原型を作るときにも使ったテクニックです。エポキシパテが硬化するまで時間が有るので、等間隔に並べたいときに便利です。
ブルーミックス型を取り、複写を取ります。
ブルーミックス型を取り、複写を取ります。
下の写真は、作成したブルーミックス型に、作品となるプラ板とエポキシパテを押し込んだ状態です。
透明のケーキスタンドにする場合はUVレジンを使うことが多いのですが、今回はTOPの様に白いスタンドにする予定なので、エポキシパテ+プラ板で複写を取りました。作品を作る際、粘土やUVレジンで型抜きをすることが多いと思いますが、エポキシパテだと硬化した時の収縮が無いこと、UVレジンの様な気泡ができないことから、食器等を型抜きするには結構良い素材だと思います。
今回は、1.0mm厚のプラ板から、直径24mmの円板を切り出して、ブルーミックス型の上に置いています。こういう薄くて広い場所はエポキシパテよりプラ板を使った方が奇麗にできるからです。そして、円盤の周りのブルーミックスとの隙間にエポキシパテを詰め込んでいます。
次回はこれで作ったケーキスタンドを完成させていきたいと思います。
【告知】2024年4月から、くじら亭の趣味クラスが始まります。
縁あって、2024年4月から、日本ミニチュアフード協会の趣味クラスの講師を担当させていただくことになりました。
クラスは、大阪クラス(第3土曜日午前)と京都クラス(第4土曜日午前)の2クラスを予定しています。大阪クラスはまだ枠が有るのですが、京都クラスはすでに満員になってしまいました。
内容としては、基礎・応用クラスが終わったばかりの方対象に、本格的にパン屋さんを作ってもらおうと思っています。(1年間で完成させる予定ですが、クラス自体は半年単位なので、半年ごとにある程度完結するように考え中です)。
パンは、ミニコレでも取り上げたバゲット、ベーコンエピ、パンドカンパーニュ、クロワッサン、ジャム瓶とともに、メロンパン、シナモンロール、デニッシュ系パンやその他生徒さんから希望があったパン等を、本物の作り方を意識した、よりリアルな作り方を学んでいただきたいと思っています。それ以外に、パンの陳列棚やトング・トレー、パン屋さんの内装等も学んでいただこうと思います。基礎応用クラスが終わったばかりの方対象なので、金属加工やはんだ付け、ヒートプレス等は最小限にする予定です。(希望が有れば実施します。)
日本ミニチュアフード協会の基礎・応用クラスを終了された方向けです。
申し込み方法は2023年12月の「日本ミニチュアフード協会メルマガ12月号」をご参照ください。