フルーツタルトを飾ってみました Vol.1 (くじら亭のミニチュアものづくり)
前回までで、イチゴのフレジェもほぼ出来上がりました。
お皿にイチゴタルトやイチゴのフレジェが乗っているだけだとちょっと寂しいので、フルーツタルトを飾る台や周りの装飾類を作っていきたいと思います。
こうすることで、華やかさが出て展示会等にも出品しやすくなりますよね。
※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。
目次
まずは、イチゴのフレジェの完成形です。
まずは、前回作りかけで終わってしまったイチゴのフレジェの完成形です。
以前作ったイチゴのケーキのクリームを借用してきました。
飾り台を最初から作るのは大変なので100均のテーブルを活用します。
飾り台を最初から作るのは大変なので100均のテーブルを活用します。
最近の100均のミニチュア家具や食器、シルバニアの家具類は結構良くできていますよね。
今回は、100均で売っている下の写真のテーブルを活用したいと思います。
このままだとプラスチック然としていて安っぽいので、少し手を加えることで高級感を出したいと思います。
塗料はGSIクレオス社の「アクリジョン筆塗り専用」を使用しました。
GSIクレオス社に、クラフトユーザー向けブランド「Classy 'n Dressy(クラッシー アンド ドレッシー)」というのが有るのですが、今回はそれの製品一つ「アクリジョン筆塗り専用」を使います。
この塗料、アンティークな家具に合いそうな色目が揃っています。あと、結構ドロッとした塗料で、広い面積を塗っても筆むらができにくく塗りやすくなっています。
プラスチック素材は半透明の場合が多く、それが「プラスチックだな」と感じさせます。これに塗料を塗ることによって不透明になり、木や金属の質感や素材感が出てきます。
まずは、素材の「ヒケ」を修正します。
まずは、素材の「ヒケ」を修正します。
プラスチック製品は、2つ以上の金型の隙間に熱で溶かしたプラスチックを射出して、冷えて固まったら金型から外すことで作ります。
「ヒケ」は、金型の中に射出したプラスチック素材が冷えて固まるときに収縮してできてしまったくぼみです。
斜めから光を当てるとよくわかるのですが、下の写真の様に凹んだところができています。
「ヒケ」がそんなに深くないので、サーフェーサーで埋めていきます。
「ヒケ」がそんなに深くないので、サーフェーサーで埋めていきます。
スプレー式のサーフェーサーを、少し厚めに塗装しています。
「ヒケ」がこれより深い場合は、パテで埋めたりする必要があります。
400番の紙やすりで平らにします。
400番の紙やすりで平らにします。
紙やすりを置いて、飾り台を動かして平らにしていきます。
こうした時、縁の部分に力を入れがちになるので、意識して真ん中をやや強めに押さえる様にします。
表向けるとこんな感じになります。
表向けるとこんな感じになります。
比較的出っ張っていた部分は素材のピンクが出ていますが、へこんでいた部分はサーフェーサーが残っています。
これでほぼ表面は平らになっています。自動車のプラモデルの様に表面をつやつやにする場合はもっと手を入れますが、上に物を乗せる家具ではこれで充分です。
パーティングラインも消しておきます。
パーティングラインも消しておきます。
パーティングラインというのは、金型の合わせ目です。
このように、小さな凸ができます。金型が古くなって摩耗するとこの隙間が広がって、「バリ」ができてしまいます。
昔設計されたプラモデルはバリが結構あったりするのはこのためです。
やすりやカッターで削り取っておきます。
全体にベースホワイトを振ります。
全体にベースホワイトを振ります。
これは必須では無いのですが、素材の薄いピンクとサーフェーサーのグレーの色の差が大きくて、そのままアクリジョンを筆塗りしても、いつまでも色の差が透けて見えてしまい、塗装が厚くなってしまいます。そのため、薄い塗膜でも隠ぺい力の強いベースホワイトを軽く振って色の差を押さえています。
こうやっておくと、アクリジョンを薄く塗ってもはっきりと発色します。
最初は薄めたアクリジョンを薄く塗ります。
最初は薄めたアクリジョンを薄く塗ります。
エマルジョン系の塗料の溶剤は「水」なので、プラスチックに塗るとはじかれてムラになりやすいんです。
GSIクレオス社のアクリジョンの場合、馴染むように添加物が入っているのですが、それでも最初は馴染みにくいので、ムラになっても大丈夫なように薄く塗ります。
この上から塗る塗料は、この薄く塗られた塗料のおかげで定着しやすくムラになりにくくなります。
4回位重ね塗りをしたら良い感じに仕上がりました。
4回位重ね塗りをしたら良い感じに仕上がりました。
天板もほとんどムラ無く塗ることができました。
ちょっとアンティークな色合いになったと思います。
ただこのままだと新品のアンティーク家具になってしまうので、次回は少し使い込んだように手を入れていきたいと思います。