フルーツタルトを作ってみました Vol.9(くじら亭のミニチュアものづくり)
前回「スポンジと、イチゴ&クリームを面一にする」はできたので、今回から飾り付け!と思ったら、上のクリームもなかなかの難敵でした。
今回は、イチゴに粉砂糖を振るところと、上のクリームも面一にするところの苦労談をお披露目したいと思います。
※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。
目次
まずは、イチゴに粉砂糖を振っていきます。
まずは、イチゴに粉砂糖を振っていきます。
イチゴを7つ成形して、赤で塗っておきます。今回は粉砂糖が主役で、粉砂糖を振ると種の部分が赤く残ってほしいので種の塗分けはしません。
粉砂糖に使ったのは、スプレー塗料です。
粉砂糖に使ったのは、スプレー塗料です。
今まで、ベビーパウダーやウェザリングスティック等を使ってきましたが、今回の様に繊細な感じを出すのはちょっと難しそうなので、色々研究してスプレー塗料を使う方法を発見しました。
私は、手元にあったクレオス社のベースホワイトというのを使いましたが、それ以外でもできると思います。
このベースホワイトというのは本来は下塗り用の塗料で、隠ぺい力が強いのでこういう使い方に合っているのかなと思います。
スプレー塗料は、普通にスプレーしてしまうと全体が均等に白くなってしまって粉砂糖らしくないのですが、今回「遠吹」というやり方で粉砂糖の粒子感を再現しています。
普通はスプレー塗料を大体15~20cmぐらいの距離で吹くのですが、このやり方では、わざと30cmぐらいの距離で吹いています。プラモデルの世界では、スプレー塗料の間違った使い方と言われる方法です。
なぜ粒子感が出るかなのですが、スプレー塗料は最初は塗料がきれいな細かい粒子で吹き出るのですが、20cmを超えたあたりで噴き出した塗料が空気の抵抗でスピードが落ちて周りの粒子とつながってしまい粒子が大きくなっていくからなんです。その粒子がちょうど粉砂糖をまぶしたような感じになるのです。
遠吹をした結果が下の写真です。
遠吹をした結果が下の写真です。
スプレー塗料を30cmぐらい離して、サッ、サッと吹いていきます。今回は7~8回位、「サッ」と吹いています。
イチゴの無いところでスプレーのボタンを押して、上空をサッと通過させたらイチゴの反対側でボタンを離す感じです。
サーッと吹くと(擬態語ばかりですが、これしか表現の仕方がないのでご容赦!)、塗料が厚くなり粒子同士がイチゴの表面でくっついて均等になってしまい、粉砂糖感が無くなってしまいます。
サッと吹いてはちょっと(10秒ぐらい)休んで、イチゴの様子を見て粉砂糖がついていない部分にサッと吹くというのを繰り返しています。
ベースホワイトをはじめ、プラモデル用のスプレーはほとんど有機溶剤を使っているので、換気には十分注意してくださいね。
また、結構飛び散りますので、養生もしっかりとしてください。
続いて、クリームを盛っていきます。
続いて、クリームを盛っていきます。
本物のフレジェだと、円筒形の型の中にスポンジやイチゴ&クリームを重ねてその上にクリームをのせるのですが、今回は円筒の型の代わりにマスキングテープで周りを巻いて代用してみました。
この時、マスキングテープが上にはみ出している幅=上に盛りたいクリームの高さにしておきます。
マスキングテープの型の中にクリームを流し込みます。
マスキングテープの型の中にクリームを流し込みます。
マスキングテープの上の端のところで、金属製の定規で均して高さを均等にしました。
クリームは、タミヤ社のホイップの達人 (ミルク) を使っています。
マスキングテープを外したところです。あぁ、やっちゃった。
マスキングテープを外したところです。あぁ、やっちゃった。
クリーム部分のイチゴを印刷したトレーシングペーパーが、マスキングテープに持っていかれてしまいました。
合わせ目のところから剥がれてしまったようです。やっぱり、ニスを上塗りすべきでした。反省。
また、上の生クリームの層ですが、マスキングテープ自体が柔らかいので、円がガタガタしているが気になります。加えて、乾燥する時に少し収縮するからか上の方が縮んで台形になっています(写真ではそんなにわからないのですが)。
このやり方では、きれいな円のクリームを面一にするのはちょっと難しいので、少しやり方を変えました。
上部のクリーム層も粘土で作りました。
上部のクリーム層も粘土で作りました。
モデナに白を練り込んで、スポンジ用の型で整形して、上部のクリームの層を作りました。
上部のクリーム層までまとめて接着しました。
上部のクリーム層までまとめて接着しました。
スポンジ+イチゴ&クリーム+スポンジ+上部のクリーム の4つを木工用ボンドで接着しました。
接着する前に各層の上下面を紙やすりである程度平らに均しておきます。
乾燥したら側面を紙やすり(240番辺り)で整形します。
乾燥したら側面を紙やすり(240番辺り)で整形します。
こんな感じで、上部の生クリーム層まで面一になるように削りました。
トレーシングペーパーに印刷したイチゴを貼り付けて、少し補正しました。
イチゴ&生クリームの部分にトレーシングペーパーに印刷したイチゴを貼り付けた後、スポンジ層との段差を水で溶かした粘土で埋めたり、上部のクリーム層に軽く白を塗ったりして、補正したのが下の写真です。
やっとフレジェらしい雰囲気が出てきました。これにイチゴをのせたのがTOPの写真です。
後は、クリームを追加で飾り付ければ完成です。
次回では、完成したイチゴタルトやフレジェの周りを少し装飾していこうと思っています。