オリジナル絵の具でバゲットを作ってみました(くじら亭のミニチュアものづくり)

先日、日本ミニチュアフード協会のオリジナル絵の具全色が届いたので、実験がてらバゲット(フランスパン)を作ってみました。

前回の記事で「次回はバウムクーヘンを完成させ切り分けたり、アクセサリーに加工したり、乗っける皿を作ったりしようと思います。」と書いたのですが、新鮮なうちに皆さんにお知らせしたく、こちらを先に記事にいたしました。

※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。

日本ミニチュアフード協会のオリジナル絵の具全色セットが届きました。

日本ミニチュアフード協会のオリジナル絵の具全色セット(12色)が届きましたので、早速使ってみたいと思います。

パン生地色やキウイグリーン等、今までに無かった色が有って、わくわくしてしまいます。
イチゴやキウイでフルーツタルトも惹かれるのですが、パン好きの私としては、パン生地色、ふんわり焼き色が気になります。

まずは、従来の絵の具や、タミヤの水性塗料と比べてみました。

私は理系なので、すぐに特性を調べたくなってしまいます。
今回も、パンを作り出す前に簡単な比較実験をやってみました。(といっても、紙とプラバンに塗ってみただけですが)

ということで、
A:普通の水性アクリル絵の具。
B:タミヤのデコレーションカラー。これは、元々はプラモデル用の水溶性アクリル塗料という種類です。
C:日本ミニチュアフード協会オリジナル絵の具
を、それぞれ紙(上)とプラ板のつるつるしている面(下)に塗ってみました。

Aの絵の具は、アクリル絵の具らしく、透明感が強く下の色が透けて見えます。重ね塗りをしてグラデーションを出すというのに適してますね。
また、プラ板に塗ったらはじかれて均等には塗れませんでした。モデナを着色するときに塗装のノリが悪いと感じることが多いのですが、こうやってはじかれていたからなんでしょうかね。また、凹凸がある部分に着色するときに、絵の具が凹の部分にたまってしまうのもこういうのが原因かもしれませんね。

Bのタミヤは隠ぺい力が強いのと、プラ板へのノリがよく一番筆ムラが出ませんでした。
あと、乾燥後は水をはじいてしますので、普通の絵の具で重ね塗りをするのが難しいかもしれません。

Cのオリジナル絵の具も、塗装のノリが良かったのです。サラサラした感じがあって、ちょうど化粧品のファンデーションのような感じなのでしょうか。
また、Bのタミヤと同じぐらい隠ぺい力が強く、筆ムラもできにくかったです。乾くと艶消しになりますので、アンパンの様なつやのあるパンを作る場合はニス塗りが必須です。

ということで、オリジナル絵の具、相当使いやすそうです。

※アクリル絵の具の種類や特徴を、この記事の最後に載せていますので、参考にしてください。

「パンの生地色」の色あいはミニチュアパンに最適です。

それでは、パンを作り出したいと思います。

まず、パンの生地色を粘土に混ぜて使ったのですが、粘土(モデナ)にきれいに混ざりました。
整形した感じでは、色が良いですね。本物のパン生地の様な色が簡単に出来ます。これは嬉しいです。
今までは、パン生地って、白とイエローオキサイトを混ぜて作ってたので、毎回ちょっとづつ色が違っていたのですが、これでパン生地作りが楽になります。

「ふんわり焼き色」でクープの部分を塗装しました。

生地がある程度乾燥したので「ふんわり焼き色」でクープの部分を塗装しました。

実物のバゲットもそうですが、クープの部分は結構生地が凸凹しています。そしてクープ全体ではなく、出っ張った部分を中心に焼き色がついています。
ですので、クープの中を再現するには、「ふんわり焼き色」をクープの中の、生地が出っ張った部分だけに塗っています。

オリジナル絵の具は粘りが有るのと少量の絵の具で色が付くので、筆に塗料をちょっとだけつけて、ティシュ等でふき取り、わずかに残った塗料をこすりつけるような感じで塗ると、出っ張った部分からへこんだ部分に濃淡を滑らかに塗ることができます。この方法、プラモデルを作る人はドライブラシと呼びます。

※通常の絵の具でこのやり方をやると、絵の具の粘りが少ないので、絵の具がへこんだ部分に流れ込んでしまって失敗作になることが良くあります。何個、昇天させたか...

オリジナル絵具で全体を塗って完成させました。

続いて、フランスパンのクラスト(皮の部分)の焼き色を付けていきました。

オリジナル絵の具の「ふんわり焼き色」は、クープの部分に丁度いいのですが、クラストにはやや薄いので、しいたけブラウンを少し混ぜています。これもクープと同じようにドライブラシで塗っています。
私は場所によって微妙に色の濃さを変えるのが好きなのですが、普通の絵の具でやると(薄くした絵の具の重ね塗りでやるのですが)色の段差ができてしまい色ムラに見えてしまうのであまりやりませんでした。オリジナル絵の具+ドライブラシでやると境界がきれいにボケるので、自然な焼き色に仕上がります。

エッジの部分(クープとクラムの境目の捲れている部分)はオリジナル絵の具の「ショコラ」を使って焦げた感じを出しました。

オリジナル絵の具の4色「パンの生地色」、「ふんわり焼き色」、「しいたけブラウン」、「ショコラ」を使い分けると、簡単に美味しそうなパンが出来上がります。
パン好きの方は、まずはこの4色を買ってミニチュアパン作りにチャレンジされることをお勧めします。

※この後、仕上げの粉を振ってTOPの写真を撮影しました。

ということで、今回はオリジナル絵の具でバゲットを作成しました。次回は、前回の予告どおり、バウムクーヘンの切り方、カッターの色々を紹介したりしようと思います。

追加情報1:ドライブラシのやり方をもうちょっと詳しく書きます。

ドライブラシのことをもう少しだけ詳しく書きます。
ドライブラシはプラモデルでよく使う手法で、凸部分を中心に塗料をうすくぼやかして付けることで、(特に戦車の)角が擦れて地金が出ている感じや、こすれて汚れた感じを出すための手法です。

筆に塗料をちょっとだけつけて、ティシュ等でほとんど塗料が付かない等にふき取ります。
筆にわずかに残った塗料をこすりつけるような感じで塗るのですが、写真のような先端をカットした筆でも良いですし、化粧用の筆でもうまくいきます。
普通の絵の具だと、薄め方が難しいのと、絵の具の色が薄く粘りがないので、こすりつけた時に筆から粘土にうまく色が写らなかったのですが、オリジナル絵の具は粘りが有るのと少量の絵の具で色が付くので、ドライブラシがやりやすかったです。

オリジナル絵の具で綺麗なぼかしを出したいときには、ぜひ試してみてください。

追加情報2:アクリル絵の具の種類と違い

私は、気になってアクリル塗料の違いを少し調べてみました(理系のサガですね。)。その結果を個人の感想も含めて記述します。この分野、専門では無いので多少の誤解もあるかもしれませんので、読まれる方は参考程度としてください。
ミニチュアフードやトールペイント、プラモデルに使われている水性(水溶性)の塗料には、主に以下の3種類が有るようです。
 
 
(1)水性アクリル絵具:画材店等で良く売られている、顔料にアクリル樹脂エマルションで練り上げた絵具だそうです(Wikipediaより)。

製品としては、リキテックス レギュラー、サクラクレパス アクリルカラー 等、たくさんあります。
昔は絵の具というと油性だったのですが(油絵というやつですね)、扱いにくかったので水で溶けるものが開発されたのが水性アクリル絵の具です。
樹脂分が多く、付着力が強いのが特徴です。実は記事中の「A」をプラバンに塗った際、最初ははじかれるのですが、乾燥すると残った絵の具は爪でこすった程度では取れませんでした。塗装面は透明感のあるつやのある仕上がりになります。
 
 
(2)アクリル・ガッシュ:水性アクリル絵具に顔料や艶消し材等を混ぜて、発色を良くし塗りやすくした絵の具。

製品としては、ターナーのアクリルガッシュ、リキテックスのガッシュ・アクリックプラス 等が有ります。
アクリル絵の具は、樹脂分が多く付着力が強いのですが、その分顔料が少ないことなどもあり、かつては発色や隠ぺい力が弱いものが多かったようです。(今は相当改善されています)。それではポスター等に使いにくかったので、顔料や艶消し材等を多めにして、マットな質感、強い隠ぺい力、広い面積を均一に塗れる絵具として開発されたものです。
そのため、アクリル絵の具より固着材が少ないので、耐久性はやや劣ります。実は記事中の「C」をプラバンに塗った際、均一にきれいに塗れるのですが、乾燥すると爪でこするとはがれてしまいました。
トールペイント用の絵の具や、今回試したオリジナル絵の具は、アクリル・ガッシュ系の様です。
ただ(1)、(2)は基本的には同じもので、添加する固着剤等の成分量の差だけですので、明確に区別できませんが。
(1)よりの(2)とか、ちょとだけ(2)の(1)とか。また、技術の進歩で上に書いた問題点も、少しその様な傾向が有るというと程度になっている製品が多そうです。
 
 
(3)水溶性アクリル塗料:水に溶ける性格を持つ有機溶剤を使った塗料

製品としては、タミヤのアクリル塗料ミニなどが有ります。
顔料や成分を水に溶かしているのではなく、顔料や成分を「水溶性」の有機溶剤に溶かしている塗料です。
ですので、塗料を薄める際は、「溶剤」で薄める必要が有ります。乾燥前は溶剤が水に溶けるので、筆洗い等は水でできます。
プラモデル用なので、プラ板や粘土へ塗った際の耐久性や塗りやすさは絵の具よりも上です。
油性の塗料に比べるとはるかにましですが、有機溶剤を使っていますので、家庭では換気の良いところで使う必要が有ります。