そば猪口もちょっとこだわって作ってみました Vol.4(くじら亭のミニチュアものづくり)

前回で、そば猪口の形が完成したので、彩色していきます。

せっかくのテクニック紹介なので、
手書き感が有り、でも細かくて手書きが難しそうな柄ということで、
「十草(とくさ)」という模様に挑戦してみたいと思います。

#どんな柄かは、Googleで「十草」で検索してみてください。

これ以上細かかったり複雑だったるすると、手書き感をあきらめて印刷してしまうのですが、
この柄だと手書きの雰囲気が出せるぎりぎりの細かさですよね。

#もっとすごい方、たくさんおられるのですが、私のレベルではこれが限界ということで。

今回は十草の模様をどうやればうまく描けるか、
色々トライ&エラーをやったので、その様子(多くは失敗)を描こうと思います。
記事を一つ書くのに、結構色々苦労しているんだな、というのがわかってもらえればうれしいです。

※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。

手書きの場合でも線は等間隔・垂直に。

この記事を描く前にいくつか試作してみたのですが、分かったことは、
-線自体の多少の歪みや長短は、手書き風に見えるのでOK
-間隔にばらつきがあったり、線全体が斜めになっているのはNG
でした。

間隔のばらつきや傾きを無くすのは、目分量では結構難しいので、ガイド線を引く必要があります。

そのため、ガイド線を引く道具を作っていきます。
まずはそば猪口全体の大きさや形を測定します。

やり方としては、マスキングテープを下の写真の様に全体に巻き付け、
境の部分に油性のサインペン等で印をつけていきます。

型取ったマスキングテープがバラバラにならないように、紙に貼り付けます。

そして、張り付けたマスキングテープをはがしていきます。

マスキングテープでこのように立体物全体に貼ると、大体途中で継ぎ足しすることになります。
これをはがすときには注意して剝がさないと、継ぎ足した部分が剥がれてしまうので、慎重にはがしてください。

剥がしたマスキングテープはバラバラにならないように、紙に貼り付けます。
サインペンに沿ってカッターで切り抜くと、展開図の完成です。

このやり方、いろんなものの展開図が作れるので、
模様を描いたり、転写シート/デカールを作るのにも応用が効きます。

切り取った型のサイズを大まかに計測します。

切り取った型のサイズを、カッティングマットの曲線(お持ちでない場合は紙にコンパスで線を引いて)大まかに計測します。
写真の様に、カッティングマットの円に合わせて、曲率に合わせます。

写真の場合、内側が半径25mm、その他がが34mm、角度が55度ぐらいでした。

※ 今回、手書きではなく転写シールを貼り付けたものも作成したのですが、(最後の写真に写っています)
  この展開図を基に、パソコンで模様を描いて、何回か紙に印刷してサイズ合わせをして転写シールを作成しました。

取った型を基に、模様のガイドを作成します。

内側が半径25mm、その他がが34mm、角度は3で割り切れるように54度で扇型を描きます。
ガイドで使用する場合には、多少の誤差があっても大丈夫です。

そして扇の骨のように、放射状に3度ずつずらして線を引いています。
こうやると、等間隔&垂直な線のガイドが描けます。

(まずは、絵具+筆で模様を描くので少し間隔を大きめにしています)

ガイドを切り出して、コーヒーカップのスリープのようにかぶせて目印をつけていきます。

ガイドから、ちょうどスリープの様に上下に隙間ができるように切り出して両端を止めてかぶせます。
写真は、底側が少し長かったので、ちょっとカットしています。

ガイドの縦線の両側に鉛筆で印を入れてます。
この印を目印に、模様を描いていきます。

まずはオリジナル絵具を使って模様を描きました。

協会のオリジナル絵の具マリンブルーが十草のイメージにピッタリなので、これで模様を描きました。
筆は、タミヤの明細筆を使っています。

内側の線は、コンパスでガイド線を書いています。
縁の部分にコンパスの針の側面を添わせて(針をちょっと長めにしておきます)書いています。

ガイド線を使うことで、等間隔で垂直な線を描くことができました。
本当はもう少し細く繊細な線を描きたかったのですが、私の腕では、これが限界でした。

この後、もう少し細い線を引きたかったので、ちょっと違う方法をやってみました。

パソコンでガイド型を作りました。

ガイド線の間隔を少し狭くしたかったのと、何回も手書きでガイドを描くのが大変なので、
パソコンで下の写真の様な図形を描いて、
印刷し、扇型の部分を切り抜いて現物に合わせていきます。

パソコンでは、扇の角度は46度で、それを2度間隔で線を引いています。
私はPowerPointを使いましたが、難しい図ではないので、絵が描けるソフトならなんでも良いです。

細い線は水性ペンがいいかなと思ったのですが...失敗しました。 

もう少し細い線で描きたいと思って、極細の水性ペンを試してみました。

極細の水性ペンって、細い線が引きやすく、しかも結構色数が多いのが良いのですが、ニスで溶けるのが心配でした。
でも、石粉粘土は水分を良く吸うので、よく乾かせばいけるかなと思って1週間乾かしてニスを塗ってみました。
上手く行けば、裏技!として紹介しようと思っていたのですが...

写真の通り、水性ニスを塗ったら、見事に溶け出してしまいました。

多分、ラッカー系塗料のクリアをエアブラシで薄く吹いて、インクを定着させればできそうにも思うのですが、
この記事で描くには道具立てが大きいので、今回は水性ペンは諦めます。

次に油性ペンも試してみました。

次は油性ペンも試してみました。

水性ペンほど色数が多くなく黒赤青しかないのですが、
十草は青色なので偶然使えました。

下の写真が油性ペンで模様を描いてニスを塗ったものです。
細い線が絵具よりしっかり描くことができていますし、もちろんにじみも無しです。

油性ペン、こういう模様には非常にいいのですが、色数が....

※2022.11.03 追記
窓際のキュリオケースに入れて飾っていたのですが、1年半後久しぶりに確認したところ、日光が当たる側の色が相当抜けていました。
このやり方は、日の当たるところに置く作品では使えないのでご注意ください。
この記事の一番最後に、色の抜けたそば猪口の写真を付けておきますので、参考にしてください。

転写シートも試しています。

転写シートもやってみました。写真の一番右がその結果です。
「取った型を基に、模様のガイドを作成します。」のところで作ったガイドを使ってパソコンで模様を描いて転写シートに印刷しています。
(何回か紙に印刷しては現物と合わせて大きさを微調整しています。)
線がきれいにそろっているのですが、大量生産品の様でちょっと物足りません。
パソコンで描くときにもう少し工夫が必要だったかも。

真ん中がオリジナル絵具で描いたものです。
もう少し繊細な線にしたいのですが、腕がついていきませんでした。

一番左が油性のサインペンで書いたものです。
これが一番思い通りの線を描くことができました。

パソコンで描いたガイド線+油性ペンがうまくいきそうだとわかったので、
次回は実際に彩色していきたいと思います。

今回は、下塗りをしていないので色目が悪くてすいませんでした。

#ここまでに、何個スクラップにしてきたか......

 
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見つけたときには、ショックでした....