パンを、ちょっとこだわって作ってみました。Vol.3 クロワッサンその3(くじら亭のミニチュアものづくり)

前2回の記事では薄々の粘土を重ねて作ってきたクロワッサンですが、
沢山作るには、ちょっと手間がかかるので、今回は原型を作って複製する方法をご紹介します。
上の写真のクロワッサンは今回複製して作ったものです。
前回までに作ったものとそん色無いでしょ?
(色付けに慣れてきたので、前回より良いかもしれません)

今回のクロワッサンのように、ディーテールが細かい作品の場合は、
原型の作り方、シリコン型の作り方、ともにちょっと工夫が必要です。

※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。

複製の原型を樹脂粘土で作っていきます。

ミニチュアの書籍やインターネットを見ていると、
原型作成は、いくつかの素材を使われていますね。

樹脂粘土で作ったり、
以前このコーナーで猪口を作った時のように木で作ったり、
エポキシパテで作ったりという場合が多いですね。
それ以外にも、オーブン粘土や金属・紙・プラスチックでも作れますね。
どれが良いというのは無く、それぞれの原型に合わせて素材を選ぶ必要があります。

今回は、薄々の層を重ねて作ってますので、
この加工がやり易い樹脂粘土で原型を作成します。

(最初は紙で作ろうとしたのですが、ほんの少し曲げる等の加工ができず、
パンらしい柔らかい曲線が出なかったので、あきらめました)

まずは、前々回と同様に、粘土を薄く伸ばしていきます。
パンの生地色だと白に近くて透けて見えるので、細かい部分が見にくくなります。

今回作るのは「原型」なのでパンの色をしている必要はありませんよね。
ですので、細かい部分が見やすいように、濃いめの色をつけています。

原型を強くするため、一部にニスを塗ることもあります。

原型を強くするため、一部にニスを塗ることもあります。

通常作品を作る場合、成形+色付けが終わってから表面の保護のためにニスを塗りますよね。
実は、ニスを塗ると細かい穴や溝などのディテールを埋めてしまいます。
ニスは透明なので見てもわからないのですが、
これを原型にしてシリコン型をとると、細かいディテールが埋まった型ができてしまいます。

ということで、通常原型にはニスは塗りません。
ただ、何も塗らずにシリコン型をとると、粘土がシリコンの油を吸って形が崩れることが有ります。
そのため、私は、原型はサーフェーサー等を塗ることが多いです。

ニスを塗ると粘土が結構丈夫になるので、
ディテールがつぶれない場合には、粘土の補強のために塗ることもあります。

今回だとクロワッサンの一番端っこのとがった部分は
成形する時によく触ってしまう部分になります。
押さえたりつまんだりして結構形がゆがむことがあります。

それを防ぐため、成形前の薄々の段階で2等辺三角形の底辺の角にニスを塗って補強しました。
下の写真の少し色が濃くなっている部分がニスを塗った部分です。

後は、前々回と同じ方法でクロワッサンを成形していきます。

後は、前々回と同じ方法でクロワッサンを成形していきます。
これで原型が完成しました。
グレーのパンって違和感がありますが、重なった層がよくわかるでしょ。

原型をプラ板に貼り付けます。

シリコン型をとるために、原型をプラ板に貼り付けます。

プラ板への接着は、タミヤのクラフトボンドを使いました。
タミヤのクラフトボンドは、接着するものの一方が多孔質(木材や粘土)の場合、
一方がプラ板でも接着可能です。

ブルーミックスを何回かに分けて、でシリコン型をとります。

ディーテールが細かい原型の場合、
ブルーミックスで一度でシリコン型を取ろうとすると、
隙間ができたり、途中でブルーミックスが硬化したりして、
うまくいかない場合が多いですよね。

私は、こういう場合、ブルーミックスを何回かに分けて、シリコン型をとります。

ブルーミックスの青材と白材を等量とり、
今回は6等分に分けてシリコン型を取りました。
分割した青材と白材を混ぜ合わして、
軽く擦り付けるような感じで少しずつ型取りしていきました。

今回、原型にサーフェーサーを振るのを忘れていますが、
表面保護のためサーフェーサーを振ることをお勧めします。

ディテールが細かい場合、シリコン型に粘土を詰めて、丸1日置きます。

シリコン型が出来上がったら、粘土を詰めて複製をとります。

このようにディテールが細かい型の場合、
取り出すときに、側面が縁等に触れて崩れてしまうので、完全に乾いてから取り出します。
この大きさだと、丸1日程度置くと取り出すことができます。

写真は、約1日置いて取り出したものです。
これでも、一番上の部分は柔らかかったので、側面に触れさせずにソーッと取り出しています。

側面の層が再現できていますね。

あとは、まとめて、色を塗りました。

あとは、まとめて、色を塗りました。

塗装方法は、前回ご紹介したのと同じ塗り方です。
まとめてやると、トップコートが無駄なく使えて良いですね。

これでクロワッサンは完成です!!
いかがでしたか?

次回からは、パンといえば欠かすことができない、パンドカンパーニュです。
本物の作り方を意識して、発酵カゴまで作ってしまっています。
次回からも、ぜひお付き合いください。

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