パンを、ちょっとこだわって作ってみました。Vol.8 カッティングボード(くじら亭のミニチュアものづくり)
今回は、パンドカンパーニュやバゲットの作品写真の中に写っていた「カッティングボード」の作り方を紹介したいと思います。
「カッティングボード」そのものはパンではないのですが、パンとの相性抜群なので「パンを、ちょっとこだわって作ってみました。」シリーズに入れてみました。
※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。
目次
まずは型紙を作ります。
まずは型紙を作ります。
私は、仕事でOFFICEソフトを使い慣れているので、パワーポイントで作成しました。
まぁ、この程度の図形だと手書きでもよいですし、使い慣れたソフトを使われてもいいと思います。
そして型紙に合わせて1mm厚の板から切り出します。
そして型紙に合わせて1mm厚の板から切り出します。
全体に、型紙より0.5mmぐらいの余裕を持たせて切ります。
両側は、カッターでもほぼきれいに切れますが、それでも、多少ささくれ立ったり、木目が裂けたりすることがあります。
なので、後で修正できるように0.5mmぐらい大きめに切っておきます。
これは、後でやすりで削って形を整えるための削り代です。
また、下の写真の様に切り目がへこんでいる場合には、写真の様にまずドリルで穴をあけておきます。
そして、縁と穴の間をカッターで切っていきます。
この時、少しずつ交互にカッターを入れていった方が良いです。
縁と穴の間ですが、一挙に切ろうとすると、木が裂けたりするので、少しずつ交互にカッターを入れていった方が良いです。
下の絵で説明すると、(2)を切る際に、一気に切るのではなく、(2)に軽くカッターで切れ目を入れたら、次に(3)に切れ目を入れる、というのを交互にやる方が良いです。
力を入れて(2)の線を一度に切ろうとすると、カッターの厚みに木が押されて(4)の様な違うところが裂けてしまうので。
大まかに切り抜けたら、全体にウレタンニスを塗ります。
大まかに切り抜けたら、写真の様に、全体にウレタンニスを塗ります。
なぜこれをするかというと、縁の部分がささくれ立たないようにするためです。
カッティングボードの縁をシャープに仕上げるのに紙やすりで仕上げていくのですが、時々端っこが裂けたりささくれ立ったりしてしまいますよね。経験ありませんか。
なぜこうなるかというと、木材は木の繊維が寄り集まったものなのですが、それぞれの繊維の強度に対して、繊維同士がくっつく力が弱いからなんです。
やすりで木材を削ろうとしたとき、やすりに引っかかった繊維の強度が繊維同士がくっつく力より強いので、繊維が削れないで他の繊維とはがれてしまうことがあるからです。
なので、水性ウレタンニスをしみこまることで、繊維同士の隙間をニスでくっつけてしまうと、表面がささくれ立つことが少なくなるんです。
お勧めは水性ウレタンニスです。乾くと硬くなるので削りやすいです。乾いても、弾力のあるニスではこのやり方ができないので注意してください。
ニスが乾いたら紙やすりで形を整えていきます。
ニスが乾いたら紙やすりで形を整えていきます。
ここでコツを2つ。
1)紙やすりは、写真の様に木片に巻き付けて使用します。
一部の紙やすりを除いては、手で紙やすりを当てると、手の弾力で一部だけが削れてしまいます。
木片に巻き付けて、カッティングボードにまっすぐ充てるようにしましょう。
#クレオス社のMr.ペーパー カードタイプ は台紙が厚いので、手で持っても平らに削ることができるので便利です。
2)カッティングボードは2枚セットにして削ります。
カッティングボードは、2枚セットにして削り、時々どちらか一方を裏向けたり、前後を入れ替えたりします。
こうすることで、まっすぐに削ることができます。
紙やすりは、このような作業では180番から240番ぐらいがちょうどいいですね。
2枚重ねて側面がきれいに削れた状態です。
2枚重ねて側面がきれいに削れた状態です。
少し斜めに削れていたりすると、2枚を入れ替えたときに、ずれがでるのでわかります。
それを交互にやることでこのぐらいまっすぐに削れます。
カッティングボードの持ち手部分も同様です。
カッティングボードの持ち手部分も同様です。
下の写真は、大体きれいにそろったところで、1枚を裏向けた状態です。
左右にずれがあると、この写真の様にはっきりとわかります。
このずれがなくなるまで削るので、0.5mm程度の削り代はすぐになくなってしまいます。
一枚を裏返してもこのぐらい揃うようになったら完成です。
下の写真は、ずれを削り終わって一枚を裏返した状態です。
このぐらい合うようになったら完成です。
持ち手の穴もあけておきます。
持ち手の穴もあけておきます。
穴の位置は、最初に作った型紙をあてて開けます。この時、穴よりも細いドリルで開けるのがコツです。
ドリルは、荒く木を削るので、周りがささくれ立ってしまうのと、どうしても位置が微妙にずれてしまうので、ドリルでは小さめの穴をあけて後でやすりで調整するほうがきれいな穴が開きます。
ここまで来たら表面も紙やすりで平滑にします。
ここまで来たら表面も紙やすりで平滑にします。
紙やすりは、400番から600番ぐらいが良いと思います。
これより荒いと、表面に削り跡がついてしまいます。
これ以上細かいと、凸凹がいつまでも取れないですね。
この時も木片に巻き付けて、まっすぐあてて、平行に動かします。
カッティングボードの角を丸めないようにしてくださいね。
最後に、穴をきれいに整えます。
最後に、穴をきれいに整えます。
この時、私はタミヤ社の「電動リューター用ビット5本セット」の円錐形を使用します。
本来電動リューターに取り付けて使うのですが、切削力が高いので、下の写真の様に手で回しても十分削れます。
感覚的には、私は、リューターに取り付けるより、手で回すときのほうが多いですね。
削り終わったら全体に薄くニスを塗ります。
削り終わったら全体に薄くニスを塗ります。
写真は、艶消しニスを塗装して乾いた状態です。
箪笥の様な家具とは違い、カッティングボードの場合は艶消しのニスのほうが良いと思います。
(カッティングボードも新品の時はツヤがあるものもありますが)
これでカッティングボードは完成です。
今回のカッティングボードいかがでしたか。
木でカッティングボードや食器等を作った際、なんとなく縁の部分がふぞろいになってしまうという方は、二枚重ね、ぜひお試しください。
次回はパンに戻って、特徴的な形のパンの代表であるベーコンエピを作っていきたいと思います。
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