パンを、ちょっとこだわって作ってみました。Vol.7 バゲット(フランスパン)(くじら亭のミニチュアものづくり)

今回は、バゲットのクープの部分を作っていきたいと思います。

バゲットの基本的な作り方は日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)で習うので、
「鋭くめくれあがって、食べると口の中を切りそうなバゲットのクープ」の表現方法を中心に説明します。

※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。

近所のお気に入りパン屋さんのバゲットを参考にします。

下の写真は、私の家の近くにあるパン屋さんの週末限定バゲットです。

鋭くめくれあがって、食べると口の中を切りそうなクープですよね。こういうパンが好きなんです。

よく見ていただくとわかるのですが、鋭くめくれあがっているのはクープの片方だけで、もう片方は表皮とクラムに段差はなく、色や状態(表面の凸凹模様)が違うだけなんですね。

なぜこうなるかというと、本物のフランスパンではクープの切れ目を入れるのにカミソリの刃(の様な専用の刃)を使うのですが、その時にカミソリに少し角度をつけるそうなんです。浅い角度でクープの切れ込みを入れるとこの写真の様に一方だけがめくれあがるのですが、垂直に近い角度でクープを入れると均等に二つに割れるようなんです。

今回は、この「すごく浅く切れ目を入れて片方が大きくめくれた」クープを表現していきたいと思います。

実際の作品はこのようにしています。

実際の作品の断面です。

こんな感じで、クープの片方はめくれ上がるようにして、クープのもう一方は、クープ内の凸凹と、色(本物より色の差を付けています)で表現しています。

切断面の気泡は、リューターを使ってガンガン開けてしまいました。

オーブン粘土で原型を作ってみました。

私、バゲットのミニチュア苦手なんです。

基礎コースを受けているときもそうだったのですが、バゲットの全体の形を作ってクープを均等に開けるまでに時間がかかってしまい、縁を立たせたり中の凹凸をつける前に粘土が乾いてしまうんです。

今回のクープの成形は、今まで以上に時間がかかりそうなので、オーブンで焼くまで固まらないオーブン粘土を試してみました。

ということで作ったのが下の写真です。
ステッドラー社のFIMOソフトを使ったのですが、手元に茶色しかなかったので、チョコレートを混ぜ込んだように見えるのはご容赦ください。でも、けがの功名ですが、濃い色のほうが形がしっかりと出ますね。

しかし、FIMOは最初硬くて大変ですね。
すこし古くなっていたこともあるのですが、結構力を入れてこねないと形を作ることができませんでした。
10分ぐらい格闘してしまいました。SOFTでさえこれなので、通常のFIMOってどんだけ硬いのでしょうね。

でも、一回こね終わったら、硬さと粘りがちょうどよくて、結構詳細に作りこむことができました。
私の中では、最初の硬さと毎度オーブンで焼かなければいけない邪魔くささがあるので、普段使う粘土というより、時間をかけて原型を作るとき専用かなと思っています。

ところで、原型は少しふっくら目になっていると思いませんか。
樹脂粘土は乾燥すると収縮するのですが、バゲットのように長細い型だと長さ方向があまり収縮せず、太さが減る傾向が出ます。
パンドカンパーニュやクロワッサンの型では均等に収縮するので、あんまり考えなくてもいいのですが。
そのため、原型を少し太めにして、乾燥したらちょうどよくなるようにしています。(ほとんど「感」ですが)

ブルーミックスで型を取って複写しました。

ブルーミックスで型を取って複写しました。

原型づくりのところでも説明しましたが、原型よりも細めに仕上がっていますね。想定していた以上に細めですが、想定範囲内で良い感じなのでこのままでいきます。

写真の右側は型から出して何もしていないものです。型に入れてから7~8時間後に取り出したのですが、クープの縁まで乾く前に取り出したので、クープの縁が少しだるくなったりしていますね。
左側は、型から出した際にクープの縁やクラムの凸凹を修正したものです。右側同様7~8時間後に取り出して、まだ固まっていないクープの部分を補修しました。

今回のバゲットのように(パンドカンパーニュもそうですね)薄い部分があったり、細かい凹凸を付けている場合、粘土と型の隙間や乾燥時の収縮により、原型より細部が甘くなってしまいます。
ですので、全体が乾燥する前に取り出して、細部を補修するほうが、思った作品にできると思います。

そして補正を入れた生地に焼き色を付けました。

基本的にはオリジナル絵具で塗っているのですが、クープのめくれ上がった部分が一番焦げるので、先のとがった部分だけ色鉛筆で塗っています。
それ以外にも、クープの内側(平行四辺形の凸凹した部分)も、色鉛筆で色数を増やしています。
クロワッサンの時にも書きましたが、パンを作るとき、局所的に色を塗るのに色鉛筆を数色持っておくと表現の幅が広がりますので、お勧めです。

クープの縁のめくれあがっている感じ、出てきていると思いませんか?

そして粉をふります。

そして仕上げに粉をふります。

下の写真は、パンドカンパーニュの時に紹介したものと同じ、ベビーパウダーを水と木工用ボンドで薄めたものを筆で塗りつけたものです。
この後、艶消しのトップコートを塗って完成です。

今回のバゲット、いかがでしたか。
次回は、そろそろネタ切れになってきたので今から考えます。

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