ロリポップ(渦巻キャンディー)を作ってみました。Vol.1 (くじら亭のミニチュアものづくり)

くじら亭です。こんにちは。
今回も、拙文を読んでいただきありがとうございます。

今回は、前回の予告どおり、ロリポップ(渦巻キャンディー)を作っていきたいと思います。
このロリポップ作成のコツは大きく2つ有ります。一つ目は、いかに細く均等に粘土を伸ばすか!二つ目は、ねじっても粘る粘土を使うこと!。意外と簡単でしょ。

※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。

粘土は、「すけるくん」を使います。

粘土は、「すけるくん」を使います。

最初はあまり考えずに、いつも使っている「モデナ」で作ろうとしましたが、細く伸ばして「ねじる」ときに、プチリと切れてしまいました。
キャンディーの透明感自体は、モデナでもそこそこ出るのですが、「曲げ」や「ねじり」に対する粘りがないので諦めました。

で、最終的に使用したのが写真の「すけるくん」です。
もちろんキャンディーの色が付いた部分の透明感が高いというのもあるのですが、それ以上にこの粘土独特の粘りがロリポップにはピッタリでした。
パッケージに「うすくしても折れない」と書いてあるとおりで、細く伸ばしたものをねじっても切れにくいところが最適でした。

次に、色つきの部分の着色ですが、基本的には透明の塗料や絵具を使います。透明というとタミヤの水性カラーというイメージがあるのですが、タミヤ(クレオスも同じですが)の水性カラーは水に溶ける有機溶剤を使っているので、粘土に有機溶剤を混ぜると粘土の粒子が溶け出しそうな感じがして、私はあんまり使いません。アクリジョンは溶剤が水なので、その点はましだと思います。(多少、有機溶剤も入っていますが)。今回は、実験も兼ねてアクリジョンを使ったのですが、粘り等に大きな影響は感じませんでした。ただ、思ったより色が薄いので、多めにアクリジョンを混ぜる必要がありました。

私が今まで良く使っていたのはアクリル絵具です。アクリル絵の具の白・黒以外の基本色(写真の赤、青、緑の絵具は「透明」と書いてあります)の多くは透明ですので、「すけるくん」に混ぜても透明度は維持されます。アクリジョンよりも少量で色が付くので絵具は少量で充分です。
なお、アクリル絵の具の中でもアクリルガシェは発色を良くするため隠ぺい材等が混ぜられているので、透明度が落ちてしまいます。ですので、今回の様な作品への使用には適していません。

細く伸ばした粘土の一時保管場所を準備します。

細く伸ばした粘土の一時保管場所を準備します。

今回は白と色つきの粘土2種類をねじり合わせるのですが、白の粘土を伸ばした後、色つき粘土を伸ばすまでに結構時間と手間がかかるので、そうこうしているうちに白の粘土が乾燥してしまいます。
それでは後の加工ができなくなるので、伸ばした粘土が乾燥しない様に、一時的な保管箱を作りました。

と言ってもたいしたことはなくて、薄くて平たいお菓子の箱の内側にサランラップを貼り付けただけです。
底の4隅に両面テープでサランラップを貼り付け、縁の余った部分はマスキングテープで留めておきます。

これで最初やってみたら、「すけるくん」とサランラップの相性が良すぎたみたいで、引っ付いて離れなくなってしまいました。
なので、追加で、底と同じ大きさに切ったクリアフォルダー(写真のブルーのもの)を敷いてあります。

モンブランメーカーの底の穴を1つだけにして他を塞いてしまいます。

この後、モンブランメーカーを使って「すけるくん」を伸ばしていきます。

なぜ、モンブランメーカーなのか?ですが、最初はクリアファイルの上で粘土を転がして細くして作ろうとしたのですが、うまくいかなかったからです。
単純に手間がかかるというのもあるのですが、手作業なのでどうしても細さが均一ではなく、後でねじった時に細い部分が集中してねじれてしまい、そこから切れてしまいました。
ですので、極力均質で細く伸ばす方法を考えた末、モンブランメーカーに行きつきました。

ただ、モンブランメーカーをそのまま使うと、細い粘土がたくさん同時に出てきて、粘土同士がこんがらがってしまうので、一本ずつ出る様に改造しました。
改造と言っても、簡単な加工でして、モンブランメーカーの底の内一番細かいものにマスキングテープを貼って、穴を1つだけ残して他を塞いてしまいます。
粘土を絞り出すとき、モンブランメーカーの底って結構圧力がかかるので、マスキングテープは2~3重にして貼らないと、途中から破れてにゅるにゅると粘土が出てきてしまいますのでご注意ください。

まずは白いキャンディー用粘土を準備します。

まずは白いキャンディー用粘土を準備します。

作品に直接関係はないのですが、本物の白いキャンディーは、なぜ白いかご存じですか。YouTubeで本物の渦巻キャンディーの作り方を見ていてわかったのですが、透明無色の飴を何回も伸ばしては重ねるということを繰り返して、細かい空気の粒を含ませることで白くしているんですね。かき氷が白く見えるのと同じ原理ですね。
ミニチュアでは、そんなことできないので、白い絵具を混ぜます。ただ、本物の飴はこのような作り方をしている関係で少し透き通った感じなので、白の絵具は少なめにして混ぜています。

そのあと、モンブランメーカーを使用しますので、水を加えて少し柔らかめにしておきます。

そして、モンブランメーカーに入れて絞りだしていきます。

そして、モンブランメーカーに入れて絞りだしていきます。

マスキングテープでふさいでいるので、下の写真の様に1本ずつ出てきます。
モンブランメーカーを握りながら、出てきた粘土が有る程度の長さになったらクリアファイルの上に寝かせていきます。

ロリポップの大きさと箱の大きさを考慮して、大体20cmぐらいの長さになるまで絞りだします。

次の色の粘土の準備をする間、保管箱に入れて置いておきます。

白い粘土を絞った後、色つきキャンディー用の粘土を絞るのですが、そのために以下のような準備があり、ちょっと時間がかかります。

-まず、モンブランメーカーの中を奇麗に水洗いします。そうしないと、粘土の色が混ざってしまうからです。
-その後、「すけるくん」にアクリジョンで色付けします。

これらの準備に時間がかかってしまい、その間白い粘土を放置しておくと、乾燥してしまいます。
そのため、白い粘土を保管箱に入れて置いておきます。

私はいったん、ほかのクリアファイルの上に作って、ピンセットで挟んで保管用の箱の上に移しました。
最初から保管箱の中のクリアファイルの上にのせてもいいのですが、箱の縁が邪魔で作業がやりにくそうだったので。

この状態で蓋をかぶせ、色つきの粘土の作業を開始します。

色付きの粘土を作っていきます。

色付きの粘土を作っていきます。

今回は実験を兼ねてアクリジョンのクリアレッドを使ったのですが、クリアだから当然かもしれませんが、結構色目が薄いと思います。
下の写真位多めに入れないと、キャンディーらしい赤にならずにピンクっぽくなってしまいました。

アクリジョンってほとんどが水なので、結果的に粘土にこの位の量の水を加えることになり、「すけるくん」は相当柔らかくなります。硬さ調整は、アクリジョンを混ぜてからそれでも足りなければ水を加えていく方が良さそうです。

色付きの粘土も、モンブランメーカーで絞り出した後、保管箱に入れておきます。

この後の作業は、絞り出した粘土一本ずつをねじっていくのですが、結構時間がかかるので、その間に色つき粘土も乾かない様にします。

白と色つきの粘土をまとめていきます。

白と色つきの粘土各2本、合計4本を1本にまとめていきます。

ここからが結構大変なので、落ち着いて作業してください。

まず、白と赤の伸ばした粘土をそれぞれ2本に分割し、端っこを写真の様に(横から見ると、各粘土の中心が正方形になるように)重ね合わせます。
先の細いピンセットで一本ずつ作業をしていきます。

全体を重ね合わせるには、持ち上げてやった方がやりやすいです。

全体を重ね合わせるには、下の写真の様に、前の写真で重ね合わせた端っこを持ち上げた状態作業をします。

持った部分から順番にちょっとずつ重ね合わせて、押さえていきます。
粘土が結構ばらけているので、ピンセット等で一本ずつほぐしながら、少しずつ4本を重ね合わせていきます。

結構4本が絡まったりして、私も何回か失敗しました。
白と色つきの粘土はそれを考慮して、何本か多めに作っておくことをお勧めします。

全部重ね合ったら、クリアフォルダーの上で軽く転がしておきます。

全部重ね合ったら、クリアフォルダーの上で軽く転がしておきます。

全体が1本の丸棒になるような気持ちで軽く転がして丸めておきます。
実際には、多少の凸凹は残りますが、やりすぎると隣同士の粘土が混ざり合うので、様子を見て適当なところで諦めててしまいます。

一方をマスキングテープで留め、ねじっていきます。

全体が1本になったら、写真の手前の様に、一方をマスキングテープで留めます。

そして、反対側を持って全体をねじっていきます。この時、もう一方の端を回してねじっていくのですが、時々全体をチェックすると均一にはねじれていないところが出てきます。その場合には、ねじれが少ないところを局所的に追加でねじってあげたりして、全体が均等になるように様子を見て作業をしていきます。

この時無理をすると、プチッと切れてしまいますので、やさしくねじってくださいね。何回か失敗して力加減を習得してください。私もたくさん無駄にしました。

うまくねじれたら、下の写真の奥の方の2本の様に、もう一方もマスキングテープで留めます。そして、霧吹きで全体に軽く水を含ませ乾燥させます。ねじれた粘土同士の間に水がしみこんで、そこが引っ付いてねじれた状態で安定することを狙っています。
この状態で、最低2~3時間は置いて安定するのを待ちます。

今週は、ここまでとします。

来週は、この渦巻棒をロリポップに仕上げていきます。

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