バウムクーヘンを作ってみました Vol.5(くじら亭のミニチュアものづくり)

前回から書き出した「バウムクーヘン」改訂版、今回からは、フォークの作り方です。

この作り方、私も山ほど失敗した結果どうにか作り方を見つけたのですが、その作り方でもいまだに2つに1つは失敗しています。
相当難しいので、このとおりに作ればできるというものではないのが申し訳ないです。

今回は、失敗から学ぶというのもありますので、うまくいかなかった部分を含めご紹介します。

※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。

まずは原型の台を作ります。

まずは原型の台を作ります。

フォークは先端の爪の部分が細すぎて原型だけを奇麗に作るというのは不可能なので、台と一体のものを原型にすることにしました。
まずは、0.5mmのプラ板を2枚重ねて、フォークの形(横から見た形)に合わせて削っています。

現物を観察します。

ミニチュアフードをよりリアルに作るには、やはり現物を観察するに限ります。

写真は自宅にあったフォークの先の部分です。
大体のサイズを記入しています。

よく見ると、両側の爪が先端に行くにつれて結構細くなっているんですね。
市販されているチャームだと、(尖っていると危ないというのも有るのですが)あまり細くしていないので、ボテッとした感じになっているのかもしれません。

根元部分が5.2mmに対して先端では1.0mmですので、相当とがっています。ここまでとがらせるのはちょっと難しいのですが、少しでもこういう感じを再現できると、雰囲気が出ると思います。

これをプラ板で再現したいと思います。

これをプラ板で再現したいと思います。

先ほどの両端の爪の部分ですが、根元が5.2mmなので、10分の1だと約0.5mm。なので0.5mm厚のプラ板を横向けに貼り付けて表現したいと思います。

内側の爪は、同様に0.3mm厚のプラ板を使います。

まずは、下の写真の緑の部分を「台」に貼り付けます。

緑の部分を「台」に貼り付けました。

緑の部分を「台」に貼り付けました。

0.5mm厚のプラ板から切り出した部分を貼り付けています。

両側の爪を削り出します。

両側の爪を削り出します。

0.5mmのプラ板なのですが、端っこから3mmのところ(実物の爪の長さが約3cmなのでその10分の1)に線を引いています。

そして、先端が薄くなるように削っています。

爪の部分を貼り付けました。

先端を細くしたプラ板を3mmの線(前の写真の青い線)のところで切って、1mm程度の幅に切ったものを横にして、下の写真の様に、両端の爪の部分に貼り付けます。
前の写真で先端に向けて細くなっていましたが、それを横にしているので、爪が先端に向かって細くなります。

内側の爪は、0.3mm厚のプラ板を同様に貼り付けています。

厚みは後で調整するので、少し厚めでもOKです。

柄の部分も0.5mmのプラ板で作って貼り付けます。

柄の部分も0.5mmのプラ板で作って貼り付けます。

貼り付けるとき、流し込みタイプの方が使いやすいですね。(爪の部分も流し込みタイプを使いました。)

通常の接着剤は、接着したいものに接着剤を付けて、それから接着したいもの同士を密着させるのですが、
流し込みタイプの接着剤というのは、接着したいもの同士を合わせておいて、すきまに流し込むプラスチック用の接着剤です。

接着剤自身は、サラサラで蒸発しやすく、強力にプラスチックを溶かす液体なんです。
合わせ目に、接着剤を含んだ筆(瓶に付属の)で触れると、接着剤がすきまに浸透していきます。この時、合わせ目の両側のプラスチックを溶かします。
そのあと、液体がすぐに蒸発するので、合わせ目の両側の溶けたプラスチックが再度固まります。溶けた時に合わせ目のプラスチックが混ざり合っているので、固まった時に一体化することで接着されるという仕組みの接着剤です。

ちなみに、この接着剤のキャップについているのが、前回の記事で紹介した接着剤用面相筆です。(下のLINKを参照してください)

爪の隙間は、紙やすりを差し込んで成形していきます。

爪の隙間は、紙やすりを差し込んで成形していきます。

隙間が0.2mm程度なので、ぎりぎり入る感じです。

また、厚みも全体に0.5mm程度になるように、紙やすりで調整したり、合わせ目にパテを盛って修正しています。

サーフェーサーを塗って全体の様子を見ます。

サーフェーサーを塗って全体の様子を見ます。

サーフェーサーは、基本的には表面の細かい傷を埋めるために使うのですが、もう一つの用途として表面の状態を確認するためにも使用します。

プラスチックの素材というのは、光を少し透すので、形状や表面の状態が判りにくいんですね。また、異なる色の素材を合わせて作った場合も全体の形が判りにくくなります。
ですので、サーフェーサーを塗って、全体を不透明な同じ色にすることで、形状や表面の状態を判りやすくする効果が有るんです。

今回は、全体をサーフェーサー(スプレータイプが楽でいいですね)で塗っています。

この後、ブルーミックスで型取りするので、下に0.5mmのプラ板を追加しています。(写真の白い部分)

フォークっぽく見えてきました。

ブルーミックスで型取りします。

ブルーミックスで型取りします。

ブルーミックスは、青と白の材料を1:1で混ぜるのですが、付属のスプーンだと、ミニチュアフードで使うには大きすぎますよね。

私は写真の「計量スプーン ステンレス 少量サイズ 4セット」というのを使っています。
1/10スプーン(0.1cc)、1/4スプーン(0.25cc)、1/2スプーン(0.5cc)、1スプーン(1cc)の4本セットで、ミニチュアフードの計量だと、1/10のスプーンが特に便利です。

ブルーミックスの型取り完了です。

ブルーミックスの型取り完了です。

原型は結構良い感じだと思いませんか。
次回以降で、この型を使ってフォークを作っていきます。

その際、テストとしていくつかの素材を試しているのですが、なかなかうまくいきませんでした。
でも、それらの失敗の原因であるそれらの素材の特徴を説明するのも悪くないので、次回は失敗特集とすることにしました。
くじら亭のミニチュアものづくりでは初めての事態となりますが、温かい目で見てやってください。

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