バウムクーヘンを作ってみました Vol.6(くじら亭のミニチュアものづくり)

前回原型を制作した「フォーク」ですが、今回は色々な素材を使って型取りをしていきたいと思います。

フォークの最大の課題は爪の部分の強度です。
型から取りだすところまではできるのですが、その後のやすり掛けでポキっと折れてしまいます。
粘土だと、爪の強度は出ないので、主に「パテ」系のものを試してみました。

素材の紹介もしたいので、うまくいかなかった部分を含めご紹介します。

※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。

まずは、光硬化パテです。

まずは、タミヤ社製の光硬化パテを試してみました。

UVレジンと違って、紫外線を当てなくても、蛍光灯で硬化するパテです。
逆に、少しでも明るいと硬化するので、細かい作業をするときは暗くする必要があります。
老眼の私には、暗いところでの作業がつらいです。

とりあえず、流し込んで固めて、削って成形するタイプですね。
(パテって基本的にはそうで、エポキシパテの様に造形できるほうが珍しい)

ということで、前回作ったブルーミックス型に流し込み、蛍光灯で固めます。

削って成形する時は、ブルーミックス型から出さずに削ります。

削って成形する時は、ブルーミックス型から出さずに削ります。

今回、何回もフォークを作ってみて発見したフォーク作り最大のコツです。

最初にブルーミックス型から出してしまうと、爪の部分を紙やすりで成形しているうちに必ず折れてしまいます。
紙やすりでこする際に力が掛かってしまうからです。特に爪の部分はすぐに折れます。
ですので、爪の部分を削る際、下の写真の様に、ブルーミックス型に入れたままではみ出た部分を削っていきます。

ブルーミックス型ギリギリまで削れたら型から取り外します。

ブルーミックス型ギリギリまで削れたら型から取り外します。

このやり方だと、ブルーミックス型も削ってしまいます。
ブルーミックス型自体が消耗品になってしまっています。

下の写真のブルーミックス型は、柄の部分に少し気泡が入っていますが、もったいないので使ってしまいました。

爪の間の部分を紙やすりで削っていると折れてしまいました。

爪の間の部分を紙やすりで削っていると折れてしまいました。

光硬化パテは、強度がちょっと不足しているようで、簡単に折れてしまいました。
これでは、フォークの原料としては使えません。

次に試したのがクレオス社のUVクリアパテです。

次に試したのがクレオス社のUVクリアパテです。

UVレジンのパテ版です。UVレジンより少し粘りがあり、流れにくくなっています。

UVレジンだと、フォークの曲がっている部分に塗ったUVレジンが流れていってしまって、薄くなってしまいそうだったのですが、
クリアパテはUVレジンより粘りがあるので、厚みはほぼ均等に固めることができました。

ただ、出来上がりは光硬化パテ以上に柔らかくて、爪の部分が折れてしまいました。

これも、フォークの原料としては使えません。

続いて試したのが、タミヤ社のエポキシパテです。

続いて試したのが、タミヤ社のエポキシパテです。

パテとしては珍しい、造形としても使えるものです。
元々がエポキシ系の接着剤なので、粘着力が強く、造形時に少しコツが要ります。

水をたっぽりと含ませた爪楊枝で押し込んでいきます。

エポキシパテはブルーミックスに全然引っ付かなくて、指には良く引っ付きます。
指で押さえたりすると、ペロっと指にくっついてきます。
ですので、それを防ぐため、指に水をたっぷりつけて型の上に広げてます。

成形する時は、水にしばらく浸けておいて、たっぷり水を含ませた爪楊枝で押さえていきます。
結構難しいので、何回か練習してみてください。

爪の部分は削れたのですが、真ん中が折れてしまいました。

爪の部分は削れたのですが、真ん中が折れてしまいました。

エポキシパテは、光硬化パテやUVクリアパテより強度が有るので、爪の間を紙やすりで削っても大丈夫でした。
(もちろん、すごく優しく削りました。)
しかし、一回銀色で塗った後、柄の部分が微妙に波うっていたので紙やすりで削っていたら、折れてしまいました。

エポキシパテでよく起こるのですが、成形の時に水を使うので、水がエポキシパテの中に入り込んで、
その部分が弱くなってしまいます。たぶん、今回もそれが原因で柄の部分が折れたようです。

ほぼできていたので、この後工夫をしてエポキシパテでフォークを作ることができました。
TOPの写真のフォークも、その工夫したやり方で作ったものです。
そのやり方は、次回に紹介したいと思いますのでお楽しみにしてください。

最後に、武藤商事社のプラリペアを試してみました。

最後に、武藤商事社のプラリペアを試してみました。

クリアパテを除くパテは(粘土もですが)、細かい樹脂の粒子を接着剤や樹脂で固めるものがほとんどです。
エポキシパテだとエポキシ系の接着剤、普通のパテだとアクリル樹脂で、中に含まれている細かい粒子を固めます。
この場合、どうしても細かい粒子と接着剤が別のものなので、そこが弱くなってしまいます。

それに対して、このプラリペアという製品は、細かい粒子と接着剤が重合して全体が一つの樹脂になるそうです。
(詳しくは....判りません....)
一つの樹脂になるということは、強度が出るような気がして今回試してみました。

製品の紹介にも、折れてしまったプラスチックのパーツ等の修理で使うものだという記述もあります。

結構怖いことが書いてあります。

このプラリペア、気軽に使うには、結構怖いことが書いてあります。

呼吸器感作性:吸入後気道過敏症を誘発する物質
反復暴露による臓器の障害:反復ばく露で起こる特異的な非致死性の特定標的臓器毒性を与える物質

毒物・劇物ではないので、必要以上に恐れる必要はないのですが、
屋外または十分に換気しながら、手袋・マスク・眼鏡を着用して作業するようにしましょうね。

くじら亭の作業場の写真を大公開します。

くじら亭の作業場の写真を大公開(というほどではないのですが)します。

私は、換気設備として、タミヤ社のペインティングブースⅡ(ツインファン)を使っています。
結構強力に排気してくれるのと、吹き返し(エアスプレーで吹いた空気が向こう側にあたって戻ってくること)が少ないので、非常に使いやすいです。
さすがタミヤ社の製品だと思います。

排気用パイプの先は段ボールで固定していて、窓を5cmほど開ければ排気できるようになっています。
「毎度排気用パイプを、開けた窓と窓枠の間に挟んで固定」といった手間がかからない様にしています。

スプレー缶やエアブラシを使うときはもちろんですが、シンナーとしてはちょっとキツメのクレオス社のツールクリーナーを使うときも使用します。
あと、石粉粘土の作品をやすり掛けする時もここでやると、細かい粉を全部吸ってくれるので(後で掃除が必要ですが)便利です。

プラリペアもこの位の環境が有ると安心して作業できますが、無い場合には、屋外や、窓際で窓を全開して作業してください。

ということで、プラリペアの結果も次回に記事にしたいと思います。

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