そば徳利を作ってみました。 Vol.1(くじら亭のミニチュアものづくり)
今回からは、そば徳利を作っていきます。
今回の作り方は、結構応用が効く作り方だと思っています。
具体的には、奇麗な円形の原型の作り方や、原型の複写の仕方、エアブラシを使ったぼかし塗装等を説明していこうと思います。
ティーポットなんかも同じ作り方でできると思いますので、色々応用してみてください。
ということで、今回は石粉粘土を使って原型を作っていきます。
※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。
目次
その前に、関西でのイベントの告知です。
関西では初めての日本ミニチュアフード協会が参加する販売イベントです。
大丸神戸店で開催され毎回人気の「ベーカリーマルシェ」、今年はそのイベントがさらにパワーアップし「グルメと趣味・雑貨の6日間」というテーマで開催されます。人気パン屋が多数出展、また、けしごむはんこ、フエキくんコーナーもあるそうです。
そのイベント内でミニチュアフード展が開催されます。
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ミニチュアフード展
会場 大丸神戸店 9階イベントホール
会期 4月12日(水)→17日(月)
営業時間 10時〜19時 *最終日は18時閉場
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このイベントでは、日本ミニチュアフード協会所属から選ばれた作家40名の作品を展示販売します。
日本ミニチュアフード協会会員として私の作品も販売します。
ちなみに、下の写真は、彩夏さん (Instagram @ayachua.77) の作品です。
素敵な色使いの可愛い作品を作られる作家さんです。実物が見られるのが今から楽しみです。
私も、作品を出品します。
私も、この記事で作ったざる蕎麦やバウムクーヘンを販売する予定です。
まずは、原型を作っていきます。
原型ですが、今回は円形の原型を作るときに私がやっている方法を紹介します。
本来は旋盤を使うべき方法ですが今回はリューターで作っています。
これはリューターの操作に慣れた人間がやっている裏技です。あくまで参考として読んでください。
原型の材料である石粉粘土を、ドレメル社(DREMEL) の401マンドレルという製品の先端に盛り付けます。
この401マンドレル、本来はリューターで金属等を磨くときに、この401マンドレルにフェルト製の研磨用ホイールを取り付けて、それをリューターに取り付けて使うものです。
なお、ドレメル社の製品の軸径(差し込む棒の部分の直径)は3.2mmで、よくあるリューターの2.35mmより太めです。
私はプロクソンのミニリューター(相当前の製品ですが)を使っているのですが、これに別売りの小径ドリルチャックを取り付けて、この401マンドレルを取り付けています。
石粉粘土を削り出して原型を作る際にたくさん削るので作りたい作品の倍ぐらいの大きさにしています。
なぜ、石粉粘土なの、と思われた方も多いかもしれません。原型を作るときは、エポキシパテを使うことが多いですもんね。
確かに、エポキシパテで原型を取った方が細かい部分まで作りやすいのですが、エポキシパテだと今回の様には機械を使って削る場合、摩擦熱で溶けたり変形したりしてしまうので使えないんです。
石粉粘土はものすごく削りやすいので、あまり力を入れなくても削れるというのが利点ですが、細かい部分はポロリと取れてしまったりして作れない問題があります。
ですので、奇麗な円形にするところまでは石粉粘土を機械で削って、細かい部分はエポキシパテを手で削るという2段階で作る予定です。
この石粉粘土、削るまでには最低でも丸1日(できれば1週間)は乾燥させています。
リューターの先に石粉粘土付マンドレルを取り付けて大まかに削ります。
リューターの先に石粉粘土付マンドレルを取り付けて大まかに削ります。
※この作業、危険を伴いますので、リューターに慣れていない方は絶対まねをしない様にして下さい。
まずは、リューターで回転させながら、やすりをソ~ッと当てていきます。
この時点では、石粉粘土の表面が凸凹なので、まずは出っ張っている部分を削って全体を徐々に円形にしていくことになります。
最初はやすりに出っ張った部分が当たって、コッ、コッ、コッ という感じで削れて行きます。
削れて行くと、やすりにあたっている時間が増えてきて、最後はザ~~~と削れるようになってきます。
そうすると、出来上がりは近いです。
最後まで、余り力を入れずに、やすりをやさしく当てて削るようにしています。
あんまり力を入れると、最悪石粉粘土がマンドレルから外れて顔の方に飛んでくることになりますので、ご注意ください。
ここまでは粗削りなので、私はタミヤの大きなやすりや使いました。
このやり方を真似してみようという方には、守っていただきたい注意点があります。
安全第一で、少しでも危険を感じたらそれ以上はやらず、手で削るようにしてくださいね。くれぐれも怪我の無いようにしてください。
-石粉粘土は削りやすいのでそんなに力を入れなくていいのですが、それ以外の素材(木材など)では力を入れてしまい、素材ややすりが弾かれたりして危険なので、やらないでください。木材等は、専用の旋盤(例:プロクソン社のウッドレース)等を使うようにしてください。
-やすり以外の切削工具は絶対に使わないでください。特にカッターは厳禁です。絶対やらないでください。カッターの先が粘土に食い込んで、カッターの刃が弾き飛ばされます。
ーやすりは、右側(原型が回る際、表面が向こう側に動いている側)に当ててください。反対側でやると、やすりがこちら側に飛んでくる可能性があります。
ーリューターの回転数は、(調整できる場合は)一番遅いところから始めてください。
ーリューターは、ある程度の品質のもの(私の経験では、1万円を超えるもの)を使ってください。安いものは、回転させたとき軸がぶれて危険です。
ー必ず保護メガネをしてください。飛んできた石粉粘土ややすりが目に当たったり、粉塵が目に入ったりする可能性がありますので。安全にだけは、くれぐれも注意してください。
この作業、石粉粘土の粉が半端なく飛び散りますので、掃除機で吸い取りながらやった方が良いです。
私はハンディー掃除機(写真右上の黒い物)を使っています。
これは、このやり方だけではなく、石粉粘土を削るときに有効な方法です。
ほぼきれいな円筒になったら徳利の形にしていきます。
ほぼきれいな円筒になったら徳利の形にしていきます。
ここまでは、大きなやすりを使いましたが、ここからは写真の様な細めのやすりを使って形にしていきます。
リューターの先端を回転させて、やすりをソッと沿わせていきます。
ソッと当てたつもりでも、思った以上に削れるので、細心の注意が必要です。
この作業も、ひとつ前の注意を守ってくださいね。
この位まで削れたら完成です。
この位まで削れたら完成です。
石粉粘土での原型作りはここまでにして、詳細はエポキシパテで作っても良いのですが、石粉粘土は削り出しがしやすいので、今回は、もう少しだけ加工しておきます。
加工のためサーフェーサーを塗っておきます。
加工のためサーフェーサーを塗っておきます。
サーフェーサーを塗るのは表面を滑らかにするというのも有りますが、石粉粘土はもろくて、これ以上の加工をするとポロリとはがれたりするので、そうならないための補強でもあります。
サーフェーサーが乾いたら、401マンドレルを外します。
サーフェーサーが乾いたら、401マンドレルを外します。
石粉粘土の湿気でマンドリルがちょっと錆びてしまっていますね。
穴を塞いで、中心に印をつけます。
穴を塞いで、中心に印をつけます。
中心の印は目分量でやってしまいました。
原型の中心同士をマスキングテープで巻きます
原型の中心同士をマスキングテープで巻きます。
これは、原型を大体2等分にするために有効な技ですので、ぜひ覚えておいてください。
ほぼ中心線が引けました。
マスキングテープに沿って鉛筆で線を引きました。
ほぼ中心線が引けました。
ちょっとだけ手を入れる部分に印をつけています。
ちょっとだけ手を入れる部分に印をつけています。
注ぎ口は、少し削ったり、石粉粘土を少しだけ足したりしています。
石粉粘土はサーフェーサーには引っ付かないので、石粉粘土を足す部分のサーフェーサーは、紙やすりで削っておきます。
あと、手で持つ部分のくぼみも大体の位置をマークします。
原型が完成しました。
注ぎ口と持つ部分のくぼみができたら、もう一度サーフェーサーを塗りました。
サーフェーサーを塗っているのは、石粉粘土のままだと、ブルーミックスで型取りする時ブルーミックスが離れにくくなるからです。
これで原型が完成です。
口の部分や中の空洞部分は、2分割の原型をエポキシパテで作るときに加工します。
写真ではわかりにくいのですが、2分割した線に沿って、口の部分にちょっとだけ切れ目を入れてあります。