そば徳利を作ってみました。 Vol.2(くじら亭のミニチュアものづくり)
今回も、そば徳利を作っていきます。
今回は原型から2分割の原型の複写を作る方法を説明します。
原型からブルーミックス型を作るとき、今回のそば徳利の様に途中がすぼまっていたりすると、一つのブルーミックス型では粘土が取り出せなくなります。
その時は、左右や前後に分割したブルーミックス型を作ることが多いのですが、そのために原型を奇麗に二つに分けるのは不可能に近いですよね。
そのようなときにこの方法は役に立つと思います。
※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。
目次
- そば徳利の様に、途中がすぼまっていると一つのブルーミックス型では抜けなくなります。
- 今回は原型の前半分と後半分の(原型の)複写を作ります。
- まずは、前半分のブルーミックス型を取ります。
- 次に、後半分のブルーミックス型を取ります。
- それぞれのブルーミックス型にエポキシパテを押し込みます。
- エポキシパテの複写が、出来上がりました。
- この時点では複写は原型(の半分)よりやや大きめなので、カッターで削っていきます。
- 最後は、紙やすりの上で平らに削ります。
- 2分割の原型の複写が完成しました。
- 石粉粘土ではできなかった細部を作り込みます。
- 少し形が悪い部分も補正します。
- 修正完了しました。
- 最後にサーフェーサーを塗って完成です。
- 前後の記事
そば徳利の様に、途中がすぼまっていると一つのブルーミックス型では抜けなくなります。
そば徳利の様に、途中がすぼまっている原型に対して、1回でブルーミックス型を取ると、下の図になります。
(原型をブルーミックスの中にぎゅーっと押し込んだ場合をイメージしてください。)
このブルーミックス型で石粉粘土の複製を取ると、黄色の部分が引っかかって取れなくなります。
また、そば徳利の内側を毎回成形しなければならないので、結構手間ですね。
なので、一般的には原型を2分割してブルーミックス型を取ります。
今回は原型の前半分と後半分の(原型の)複写を作ります。
今回は原型を前半分と後半分に分割するのではなく、複写を作ります。下の図でいうと①~③を実施します。
というのも、石粉粘土で作った原型を、スパッときれいに2分割することは、レーザーカッターでも使わないと不可能だというのがあります。
また、前後の複製をエポキシパテで作ることで、石粉粘土ではできなかった細かい成形(石粉粘土だとポロリと取れてしまうような薄い部分等)ができるというメリットもあります。
次回で、それぞれの複写に対して、外側と内側のブルーミックス型(下の図のⒶ~Ⓓ)を作って、石粉粘土で前後の部品を成形し、つなげて仕上げるという工程を紹介します。
まずは、前半分のブルーミックス型を取ります。
まずは、前半分のブルーミックス型を取ります。
この時、原型の前半分よりもやや大きめに型を取ります。
次に、後半分のブルーミックス型を取ります。
次に、後半分のブルーミックス型を取ります。
この時も、原型の後ろ半分+やや大きめに型を取ります。
それぞれのブルーミックス型にエポキシパテを押し込みます。
それぞれのブルーミックス型にエポキシパテを押し込んでおきます。
完全に硬化したあとで取り出します。
エポキシパテの複写が、出来上がりました。
硬化後に取り出したのが下の写真です。
エポキシパテの複写が、出来上がりました。
多少、へこみ等があっても修正するので大丈夫です。
この時点では複写は原型(の半分)よりやや大きめなので、カッターで削っていきます。
この時点では複写は原型(の半分)よりやや大きめなので、カッターで削っていきます。
この時に、時々前と後ろを合わせながら削っていきます。
原型と比べながら、上面と下面がきれいな円になる一歩手前くらいの感じで削ります。
もし、削りすぎても後で修正できますが、基本削りすぎない様に作業します。
最後は、紙やすりの上で平らに削ります。
最後は、平らな場所に置いた紙やすりの上で平らに削ります。
180番位の紙やすりがちょうど良く削れます。
この時、力の入れ方を間違えると端っこの方が多く削れて削った面が曲面になってしまいます。真ん中を中心に押さえて平らに削る様にしてください。
時々前後を合わせて、丸くなっていないか、斜めに削っていないか確認してくださいね。
2分割の原型の複写が完成しました。
2分割の原型の複写が完成しました。
右のサーフェーサーを塗ったものが、石粉粘土で作った最初の原型、
左の黄色いのが、2分割の原型の複写です。
口の縁の部分等が少しゆがんでますが、ほぼ同じものになりました。
この後、細部を作ったり、表面の歪みや窪み等の補正を行います。
石粉粘土ではできなかった細部を作り込みます。
口の部分を薄く削りこんでいきます。
石粉粘土で作った原型では、あまり薄くするとポロリと取れてしまうので削らなかった口の部分ですが、エポキシパテなら粘りがあって大丈夫なので削っていきます。
2分割の方が、口の部分の厚みもわかるし、やすりの作業もしやすいので、削りやすいですね。
また、そば徳利の中も少し削っておきます。
作品にするときには出汁が入って見えなくなるので、この位の穴を掘るだけにしておきます。
少し形が悪い部分も補正します。
少し形が悪い部分も補正します。
写真は、ゆがんでいる部分、へこんでいる部分やカッターで削りすぎた部分に、エポキシパテを追加で盛り付けた状態です。
硬化した後に削って形を整えていきます。
修正完了しました。
修正完了しました。
写真では違いが判りにくいのですが、表面の穴や歪み等がきれいになっています。
最後にサーフェーサーを塗って完成です。
最後にサーフェーサーを塗って完成です。
実際には、サーフェーサーを塗ると表面の様子が良くわかるので、見つかった表面が荒れている部分をスポンジやすりで整えて、もう一度サーフェーサーを塗っています。
これで、原型を2分割せずに、2分割の原型の複写を取ることができました。
次回は、この原型の複写のブルーミックス型を作っていきます。