フルーツタルトを作ってみました Vol.4(くじら亭のミニチュアものづくり)
先日、花杜あずさ先生が講師をされている大阪梅田の毎日文化センター大阪の基礎・応用コースに見学&ご挨拶に行ってきました。
その時に、このイチゴタルトを持っていたのですが、受講生の皆さんの第一声が「小さい!!」でした。
写真からは伝わりにくいのですが、タルトの半径が2センチ強なので、100円玉とほぼ同じ大きさです。
もし、私が教室をするとしたら、イチゴタルトはこの1.5倍ぐらいの大きさのものを題材にした方が良いかなと考えたりしました。
ということで、前々回でタルト台、前回でイチゴを作ったので、今回はイチゴを盛り付けていきます。
あと、色どりを増やすため、ブルーベリーをトッピングしたり、少し粉砂糖を振ったりしています。
※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。
目次
イチゴがいくつ並ぶかを確認しておきます。
タルト台に、イチゴがいくつ並ぶかを確認しておきます。
今回作ったイチゴだと、丸ごとのイチゴを真ん中に置いて、その周りにカットのイチゴを4周置けそうです。
少し詰め込まないといけないのですが。
タルト台のセンターを出します。
イチゴがぎゅうぎゅう詰めになり、真ん中のイチゴがどちらかによっているとあふれ出てしまいそうなので、センターをちゃんと出しておきます。
タルト台のセンターを出すために、サークルカッターを使って、紙からタルト台の内側(今回は19mm)の直径の円を切り出します。
円形の紙の中心に開いた穴が中心なので、針で刺してタルト台にマークします。
円形の紙の中心に開いた穴が中心なので、針で刺してタルト台にマークします。
その前に、タルト台の中に、少し真ん中を高めにするように粘土を少し敷いています。この粘土でタルト全体の形を作ります。
真ん中から順番にイチゴをカスタードクリームで盛り付けていきます。
真ん中から順番にイチゴをカスタードクリームで盛り付けていきます。
今回はタミヤ社のカスタードクリームを使いました。接着力が有るのでイチゴの固定に使えます。
盛付が終わってから感じたのですが、少し黄色が強くてコントラストが出すぎるので、生クリーム系の方がいいかもしれません。
イチゴは盛付に合わせてヘタの部分を切ったりしています。
イチゴの盛付完了です。
イチゴの盛付完了です。
このビッシリとイチゴを盛り付けたタルト、これだけで幸せな気分になります。
種の部分が黄色くなっているので、赤一色の単調な感じになるのを防いで入るのですが、それでも少し単調なので、少し手を加えたいと思います。
まずは、ナパージュを塗って光沢を出していこうと思います。
※ナパージュ:ケーキ作りの際、お菓子やフルーツの表面に塗る、透明感のあるジュレ状のもの。
試作時のナパージュ失敗例です。
試作時のナパージュ失敗例です。
下の写真は試作用に作ったイチゴタルトなのですが、ナパージュとして水性ニスを一度にたっぷり塗っています。
すると、黄色い円の部分が顕著なんですが、小さな気泡がたくさんできてしまいました。
ちなみに、この「ミニチュアものづくり」の記事なのですが、一回で成功しているわけではなく、こうやって試作を繰り返して、極力簡単に作れるようにしているんです。と、アピールしてみました。
※何のためのアピールか自分でもわかりませんが。
ナパージュの小実験を実施しました。
ということで、ナパージュの小実験を実施しました。
実験に使ったのは、透明の皮膜を作ることができる代表的な3商品で試してみました。
1)タミヤ社のツヤ出しニス:結構とろみが強く、本物のナパージュには近い感じがします。
2)クレオス社のアクリジョン:透明の艶のある皮膜ができるのですが、結構サラサラです。ですのでこれを何回か重ね塗りします。
3)パジコ社のUVレジン星の雫:ご存じUVレジンです。これも粘りが強くナパージュに近い感じがします。
まずはタミヤ社のツヤ出しニスです。
まずはタミヤ社のツヤ出しニスの結果です。
イチゴとイチゴの隙間の部分、塗った瞬間は良かったのですが、乾燥したら小さな気泡ができてしまいました。
やはり厚塗りをすると、(ほかの塗料でも同様ですが)良くないですね。
塗料自体にとろみが有り、こういう凹凸のある素材にこのニスを薄塗りするのは難しいので、今回の用途には使いにくかったです。
クレオス社のアクリジョンです。
クレオス社のアクリジョンです。
アクリジョンに限らず、プラモデル用の塗料のクリアは透明の艶のある皮膜ができるのですが、結構サラサラです。ですので、これを何回か重ね塗りしてナパージュを実施した感じを出します。今回は、アクリジョンのクリアを3回重ね塗りしました。
重ね塗りなので、思った部分に厚みを持たすこともできるし、表面全体をを滑らかにできました。
凹の部分にも気泡はできずにきれいに塗れました。
パジコ社のUVレジン星の雫です。
パジコ社のUVレジン星の雫です。
粘りがあり、「ナパージュを塗った」という感じで塗れるのと、塗料と違い、厚塗りになってしまった凹部分も気泡にならないので、出来上がりは良いですね。
ただ、ちょと使い方に注意が必要です。
まず、筆で塗る方がきれいに塗れるのですが、一度使うと筆をダメにしてしまうことです。
そのため多くの方が爪楊枝で広げていると思うのですが、これぐらい凸凹している部分を爪楊枝で広げていると、なかなか平滑に塗れなかったり、途中で固まってきたりしてちょっと扱いにくいかなと思います。
私は、100均で売っているネイル用筆で塗って、ちょっともったいないかなと思いながら、使い捨てにしています。
あと、UVライトの光が当たらない奥まった部分(イチゴが重なった裏側)にもレジンが浸透してしまうので、固まらないレジンが残るのが嫌だなぁ、と思ってしまいました。2液混合を使えばいいのですが、2液混合は固まるまでの時間が長いので、こういう凸凹したものに塗ると奥の方に流れていきそうです(試して無いのですが)。
ということも有り、少し使いにくいですね。
ブルーベリーで色どりを沿えて、アクリジョンでナパージュしました。
結局、赤一色だと寂しいので、ブルーベリーで色どりを沿えて、アクリジョンでナパージュしました。
これでもまだ外周部分がちょっとぼやけた感じなので、粉砂糖を振ってみます。
粉砂糖には、タミヤのウェザリングスティックを使いました。
粉砂糖には、タミヤのウェザリングスティックを使いました。
前回のスフォリアテッラの時は、ウェザリングスティックで直接塗ったのですが、今回はそれだと粉感が出ないので、少しやり方を変えています。
まず、ウェザリングスティック(の中身)を少し皿に取り、クレオス社の「Mr.ウェザリングブラシセット SOFT」の大きいほうを使いました。
この筆は、やや硬めの毛で筆先が円形で先端が平らになっています。
やり方ですが、筆の先端を、皿に取ったウェザリングスティック(の中身)の上でトントンとやって、筆の先にほんの少しウェザリングスティック(の中身)を付けます。毛一本一本の先についているウェザリングスティック(の中身)が粉砂糖の一粒になります。これをタルトの周囲にチョンチョンとしていきます。押し付けるというより、軽く当てていく感じです。
外周に粉砂糖を振った状態です。
外周に粉砂糖を振った状態です。
良い感じになったと思っています。ただこの状態では、ウェザリングスティック(の中身)は固着していないので、触ったりするとはがれていきます(写真のイチゴタルトも教室に持って行ったりしたので、一部剥がれてしまいました)。粉砂糖を塗り終わったら、トップコートで固着しておかないといけませんね(反省...)。
今回でイチゴタルトの基本は終了です。
次回から、応用編としてイチゴの断面をやっていきたいと思います。