フルーツタルトを作ってみました Vol.5(くじら亭のミニチュアものづくり)

前回まででイチゴタルトを完成させました。

イチゴの外側を主に使ったのですが、赤一色で単調になってしまうのでブルーベリーを乗せたり粉砂糖を振りかけたりで少しアクセントを加えてみました。

今回からはイチゴの断面を使って、変化を付けたイチゴタルトを作成します。
断面を使うと、断面の少しスケ感のある赤と、皮の部分のはっきりとした赤のコントラストがついて良いですよね。
イチゴはやはり断面です(私見ですが)。

とは言え、タルトに使うだけの断面を描くのは超大変ですよね。
そのため、もう少し簡単に、でも赤の透け感を損なわないように、断面を表現をする方法を(山ほど失敗しながら)編み出しました。
今回のTOPの写真のタルトに使っている断面もその方法で作っています。

ちなみに、タルトは100円玉と同じ大きさです。

※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。

まずは、筆で書いてみました。

まずは、筆で書いてみました。

イチゴの高さは4mm程度です。
一応は断面らしく塗れているのですが、色が単調で、線が直線でくっきりしすぎているので、それらしくないですよね。

上からニスを塗るとすこしだけそれっぽくはなりました。

上からニスを塗るとすこしだけそれっぽくはなりました。

これが私の限界です。

良く、私が「器用」だと思っている方がおられますが、そうでもないんです。
確かに「少し器用」な部類だとは思いますが、著名なミニチュア作家さんの様な超絶技ができるタイプではありません。
特に、こういう細かい筆使いは苦手で、いつもマスキングテープ等を組み合わせたりして、やり方を工夫して補っています。
今回も、白い部分にマスキングテープを貼る、全体を赤で塗って後から白い部分を削る、ハンコを作る、等やり方を考えて試してみたのですが、どれもうまくいきませんでした。そして、最後に行きついたのが、家庭用のインクジェットプリンターでした。

そりゃプリンターを使ったら簡単でしょ思われると思うのですが、イチゴの断面らしくするのに結構苦労をしました。
その、プリンターを使う方法を(失敗例も含めて)説明していきますね。

イチゴの断面のデータです。

イチゴの断面のデータです。

仕事で使いなれたパワーポイントを使っていますが、イラストレーターやフォトショップをお持ちなら、そちらの方がやりやすいと思います。

最初は、ネットで見つけた断面の写真を使ったのですが、写真だと色の境界がはっきりしていないので、小さく印刷すると全体が赤い塊の様になって白い線が奇麗に出ません。ですので、「図形」をつかって自作しています。

「図形」の中身です。

「図形」の中身です。

左側は今回作成したイチゴの断面です。

青い四角の上に、それを部品に分解したのもを展開してみました。
白い線は、一本ずつ「円弧」の白線を使っています。

コピー用紙の上に印刷しました

コピー用紙の上に印刷しました。

白い線が微妙に曲がっていていい感じです。手書きでここまでやるのは、私は無理です。

イチゴに貼り付けてみました。

木工用ボンドでイチゴに貼り付けてみました。

イチゴの縁に沿ってカットしています。

イチゴの縁に沿ってカットしています。

縁から紙がはみ出しているとすごく目立ってしまいますので、ハサミを使って縁ギリギリをカットしています。
カッターだとうまくイチゴの縁に沿わないので、こういう時は、ハサミが良いですね。
こういう細かいカットをするときの為に、少し小振りの良い鋏を持っておくと便利です。

ニスを塗って、断面のシズル感を出してみました。

鋏でカットする時に削れてしまった部分を赤で塗ってから、ニスを塗って断面のシズル感を出してみました。

結果ですが、断面の赤、白、両方ともスケ感が無く、いかにも「紙を貼り付けました」という感じになってしまいました。
これではちょっと作品には使えないので、もう一工夫が必要ですね。

ということで、次回はスケ感に焦点を当ててこの問題を解決したいと思いますので、お楽しみにしてください。

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