フルーツタルトを作ってみました Vol.6(くじら亭のミニチュアものづくり)

前回は、印刷を使ったイチゴの断面を紹介しましたが、いかにも「印刷」という感じで、置物やアクセサリーには使いにくいものになってしまいました。

今回は、その欠点を解消して、イチゴらしく見える様にしました。
この方法を使うと、TOPの写真の様にイチゴの断面の透明感やシズル感がでて、良い感じになると自己満足しています。

※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。

イチゴの断面の印刷にトレーシングペーパーを使いました。

イチゴの断面の印刷にトレーシングペーパーを使いました。

トレーシングペーパーは厚口と薄口があります。醤油みたいですね。
厚みが有ると紙自体が硬くイチゴとなじみが悪いので、今回は薄口を使います。

これにより、スケ感がでて、コピー用紙に印刷したようにいかにも「印刷しました」という感じはなくなると考えたからです。
しかし、家庭用プリンターでトレーシングペーパーを使うのは結構大変でした。
今回は、そのあたりの奮闘記になってしまうかもしれません。

トレーシングペーパーの裏にコピー用紙を貼り付けました。

トレーシングペーパーの裏にコピー用紙を貼り付けました。

プリンターの機種にもよるのですが、私が所持しているEPSONのプリンターでは、薄すぎてトレーシングペーパーをうまく取り込まなかったので、端っこをコピー用紙に糊付けしたものに印刷しました。

普通に印刷すると、つぶれてしまいました。

前回の記事でコピー用紙に印刷したデータと設定そのままで、トレーシングペーパーに印刷すると写真の上の列の様に全体がつぶれてしまいました。
トレーシングペーパーはコピー用紙に比べてインクの吸い込みが悪いので、インクが吸い込まず広がってしまいました。

そこで、印刷の品質を標準(3)から早い(2)に変更することで、インクの吐出量を減らしてみたのが下の写真です。
すると、写真の下の列の様に、それなりに印刷することができました。
ただ、私の持っているプリンターでは「早い(2)」の設定だと、双方向印刷をOFFにできないこともあり、印字が少し荒く細部が多少潰れた状態になります。
また、少しずれたところも出てきます。これも、ミニチュアだから気づくのですが、通常の書類の印刷に関しては全然問題有りません。

印字品質を変えずに、インクの吐出量を減らす方法を考えだしました。

できれば、印字品質を「きれい」で印刷したいので、印字品質を変えずに、インクの吐出量を減らす方法を考えだしました。

考えた結果編み出した方法が、「色を薄くする」ことです。
下の写真は、赤の色を通常の赤(RGB)=(255,0,0)から、薄い赤(RGB)=(128,0,0)に変更して、印字品質の「きれい(4)」で印刷したものです。
色が薄めになりましたが、印刷のつぶれや歪みが無くなってきれいに印刷されています。

これは、インクジェットプリンターの特性を利用したものです。大雑把に言うと、赤で印刷する時に赤のインクを1吹き付けるプリンターだとすると、薄い赤で印刷する場合には赤のインクを0.5吹き付けることで薄い赤を表現するという特徴です。

しかも、薄い赤にしたことで、イチゴの断面の赤が良い感じで表現できました。
ただ、真ん中の白い部分とその周りの赤い部分の境界がくっきりしているのがちょっと不自然ですね。

データも少し改良しました。

データも少し改良しました。

真ん中の白い部分の境界を少しぼかしてみました。

最終的に印刷したものです。

最終的に印刷したものです。

白い部分の境界が柔らかくなって、良い感じに仕上がってきたと思っています。
インクが乾いたら、インクの定着の為にクレオスのMr.カラースプレーの(クリア(透明))を上から吹き付けておきます。

トレーシングペーパーの裏からイチゴを貼り付けます。

トレーシングペーパーの裏からイチゴを貼り付けます。
イチゴは、パジコ社のモデナに少しだけ白の絵具を混ぜたもの作って、皮を赤く塗っています。
トレーシングペーパーなので、裏からでも印刷した部分を見ながら貼り付けることができ、正確な位置にイチゴを貼り付けることができます。

なお、表から貼り付けてしまうと、クリアを吹き付けてあっても、場合によってはインクがボンドで溶けてしまいます。

鋏を使って、イチゴの縁ギリギリでトレーシングペーパーをカットします。

鋏を使って、イチゴの縁ギリギリでトレーシングペーパーをカットします。

イチゴの縁に鋏の一方の刃をあてて、もう一方を動かすようなイメージでカットしました。
私は左利きなのですが、こういう精密なハサミは右利き用しかないので、ちょっとひねって切り口を手前にして切らなければいけないんです。
左利き用の精密バサミ欲しいです。

トレーシングペーパーの縁と、ハサミではがれた部分に赤を塗っておきます。

トレーシングペーパーの縁と、ハサミではがれた部分に赤を塗っておきます。

トレーシングペーパーの縁がそのままだと目立ってしまうので、縁の部分を赤く塗っておきます。
ついでに、ハサミを沿わせたのではがれてしまった部分も赤で塗っておきます。

これでイチゴの切断面は完成です。

切断面付のイチゴを盛り付けてみました。

切断面付のイチゴを盛り付けてみました。

イチゴの白と赤のコントラストが出てきれいだと自画自賛しています。

イチゴのタルトは一旦小休止して、イチゴの断面つながりで次回はフレジェに挑戦したいと思います。

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