市販のシリコン型でお皿を作ってみました Vol.1(くじら亭のミニチュアものづくり)
前回のバウムクーヘンの記事で、カットしたバウムクーヘンを盛りつけたお皿は、市販のシリコン型と軽量石粉粘土(パジコのラドールプルミエ)で作成したものです。
最初は自分で原型を作る、そこからブルーミックスで型取りしてできないかチャレンジしていたのですが、きれいなお皿が作れずに断念しました。
そこで、市販のシリコン型ならきれいなお皿が作れるのではと思い市販のシリコン型を購入して作ってみたのですが、思ったようにいかず何回か繰り返してどうにか形にしました。
今回はその苦労談をもとに、市販のシリコン型を使って、そこそこ綺麗な器を作る方法を解説します。
※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。
目次
こんなシリコン型を使ってお皿を作りました。
当初は、プラ板を切り抜いたりパテを盛ったりして原型を作り、ブルーミックスで型を作ってやってみたのですが、惨敗でした。(写真の上半分の青い物体)
そもそもの原型のお皿がかわいくないのと、形にゆがみが有ったりしたので、諦めて市販のシリコン型を使うことにしました。
自作のシリコン型が片面タイプなのが致命的でした。
使用したシリコン型は、日清アソシエイツ株式会社製の「菊皿 立体型」と「梅皿 立体型」です。
立体型とありますが、これは土台と蓋の2つ(ビンのような形を成型するシリコン型は3つ以上に分かれている場合もあります)のシリコン型で粘土やレジンを挟んで成型するものです。
透明なシリコンを使っていて挟んだ粘土の様子も見えて作りやすそうです。さすが、市販品はよさそうですね。
まずは、必要な粘土の量をきっちりと測ります。
シリコン型を使ってお皿を作る場合、材料は粘土かレジンの2種類が有りますが、材料費の安さと手軽さから、今回は粘土で作成しました。
レジンでの作り方は別の機会に紹介します。
粘土で作る場合、何度もやり直すと、粘土が乾燥してくるのと、手についていた小さな塊がついたりして、表面がきれいになりません。(何回も失敗した経験より。)
ですので、粘土をシリコン型に挟んだら、一発で成型できるように最初から最適な粘土の量を挟んで、粘土の追加や削り取りをしない様にするのが、シリコン型で食器を作る際の最大のコツだと思います。
そのため、必要な粘土の量をきっちりと測る必要が有ります。
まずはやや多めの粘土をシリコン型に入れて挟んで、はみ出た部分を写真の様に取り除くという作業を繰り返します。
土台と蓋が隙間なく合うぐらいになったら測定終了です。
シリコン型から粘土を取り外してカラースケールで量を測定しておきます。(もちろんメモを取りましょう(笑))
測定が終わったら、残念ながらこの粘土は使えないので捨ててしまいます。
私が測定したところでは、
菊皿ミニは、大=G、小=E のスケールでした。
梅皿ミニも同様に、大=F、小=C のスケールでした。
もし同じシリコン型を使われるのでしたら参考にしてみてください。
新鮮な粘土をカラースケールを使って測り、土台に押し込みます。
食器を作る場合、やはり石粉粘土が良いですね。
通常の粘土だと弾力が有るので、食器としてのシャープさが出ないのと、表面のザラっとした感じが出ないので。
石粉粘土だと弾力が無いので形がとりやすく食器には最適ですね。
それと、やすりで表面の加工がしやすいことも大きいです。必ずできてしまう合わせ目のはみ出た粘土(バリというのですが)や、パンや野菜では気にならない表面の傷・小さな穴も食器の場合は気になるので、どうしても後から修正できる必要が有ります。石粉粘土はこういう作業が比較的やりやすいです。
私は石粉粘土の中でも軽量石粉粘土(製品名を上げると、ラドールプルミエが有ります)のカリッとした感じが好きなので、今回もラドールプルミエを使っています。
すでに書いた通り、粘土を成型する際、一発で決めるほうが表面の荒れが少なくて済みます。開けたり挟んだりを何回かやっていると粘土にしわや傷ができていくからです。
ですので、新鮮な?粘土を、カラースケールを使って取りだします。そして写真の様に土台の真ん中に押し付けます。
(この時裏からも確認して、浮いているところがないことを確認しましょう。)
蓋にベビーオイルを塗って、土台に被せて一回で整形します。
そしてすぐに蓋をかぶせるのですが、その時蓋にベビーオイルを塗っておきます。ベビーオイルは1滴たらして、筆でまんべんなく広げるぐらいが良いと思います。
これは、挟んだ後、きれいに蓋がはがれるようにするためです。
これをしないと、シリコン型を外すときに蓋に粘土がくっついたり、土台から浮いたりしてしまいます。
そして蓋を被せ、全体に均等に押し付けます。かまぼこ板等を蓋の上に置いてその上から押さえると均等に力が加わります。押す加減ですが、シリコン型が変形しない程度の強さで推す必要が有ります。
シリコン型自体が透明なので、粘土とシリコン型の様子が見えるので、シリコン型と粘土がまんべんなく接しているのを確認します。
もし浮いているところが有れば、そのあたりを軽く押して接するようにします。
空気が入ってしまった場合には、真ん中から外に向かって押し出すようにします。
蓋を押し付けるという言うより、優しく蓋でこするような気持でやるとうまく行くと思います。
そして、蓋を外したのが下の写真です。
少しへこんだところが有りますが、そこは乾燥後に修正します。この状態で触るとろくなことが有りません。(何回かやってしまいました)
あと、菊皿・梅皿とも大小の型がついているので、欲張って大小同時に作ろうとしてしまいましたが、「二兎を追う者は一兎をも得ず」そのものの結果になりました。
経験談からは、1回にどちらか一つの型をとることをお勧めします。
粘土や塗装の乾燥には、山善の食器乾燥機が最適です。
石粉粘土って、乾燥に時間がかかることが多いですよね。
私は乾燥時間の短縮のため、山善の食器乾燥機を使っています。(もともとは、プラモデルのスプレー塗装後の乾燥用に買ったのですが)
この乾燥機、自然対流式が特徴です。底の金属板がほんのりとあったまり、熱せられた空気がゆっくり対流します。測った人によると機内の温度は40~45度程度の様です。そんなに高くない温度で優しく乾燥させるのと、透明の蓋つきでホコリ除けにもなるので、粘土や塗装の乾燥用としては重宝します。
ちなみに、他メーカーの乾燥機は80度以上の熱風を吹き出して対流させるタイプなので、食器はよく乾きますが、プラモデルが溶けてしまったり、塗装面にほこりが吹きかけられてしまいます。
この乾燥機、通販サイトのコメントを見るとプラモデル関連のコメントばっかりで、時々有る乾燥機としてのコメントは「食器が乾かない」というダメ出しコメントが多いという名機(迷機)です。
今回の皿たちは、この乾燥機で2時間乾燥させると、中心部をさわっても湿った感じがなくなります。そうなれば、裏向けると簡単に外れますので、裏側も乾燥させます。
表面の様子をチェックして、必要が有れば水を加えた粘土で埋めて補修します。
乾燥した皿の表面をチェックして、へこんだ部分に同じ石粉粘土を埋めます。
このとき、乾燥した皿と石粉粘土がなじむように石粉粘土に少し水を足して穴を埋めるのですが、水を入れすぎると乾燥しているお皿がその水を吸ってしまい折角乾いた皿が柔らかくなってしまいます。ですので、水は加えすぎない様にしましょう。大体、石粉粘土1に対して、水0.3~0.5ぐらいが良いかと思います。
私は、粘土を埋め込むときに、粘土用のヘラではなく、タミヤの「調色スティック」を使っています。
片方の先端が平らなヘラ状、もう一方が小さなスプーン形をした金属性のスティックで、写真の様に先端が小さいので、粘土を盛るときや平らにするとき小回りが利くので、たいへん便利に使ってます。
写真は、タミヤの調色スティックと水を少し加えた粘土、そして補修済みのお皿です。
曲面になった粘土の表面を滑らかにするには、研磨スポンジシートが最適です。
曲面になった粘土の表面を滑らかにするのって、どうやればいいか悩みませんか。
紙やすりや金属性のやすりで菊皿の凹凸模様をそのままに表面を滑らかにするって、難しいですよね。
私は、タミヤ研磨スポンジシート 1000 を使っています。
※タミヤの関係者では無いのですが、模型を含む小さいものを作る道具としてはタミヤの製品に優れているものが多いので、どうしてもタミヤ製品の紹介になってしまいますね。
スポンジが曲面に沿って曲がってくれるので、ある程度凹凸模様が残る様に表面を研磨することができます。ただし、あくまで「ある程度」なので、何も考えずに削ると凸になった部分の方が削られてしまいます。
コツとしては、例えば今回の菊皿だと、研磨スポンジシートの角で凹の部分をお皿の中心から外側に向けてなぞる様に磨くと、その周りもついでに研磨されて、菊皿の模様がそのままで表面全体が滑らかになります。
写真は研磨スポンジシートで磨いた後の菊皿、梅皿です。
ということで、今回は石粉粘土でお皿を作ってきました。
次回は、この皿たちを塗装していきたいとおもいます。
-------------------------------------------------------------------
前後の記事