瓶入りのジャムを作ってみました Vol.2(くじら亭のミニチュアものづくり)

今回は、前回に引き続き、瓶入りのジャムを作っていきたいと思います。

今回は、市販のシリコン型と透明UVレジンで作る方法を紹介します。
この方法だと、プラスチックを切る・削るといった作業が必要ないので、やりやすい方も多いのではないかと思います。
また、瓶を開けた状態も再現できるので、表現の幅が広がると思います。

でも(後ほど説明しますが)、シリコン型とUVレジンで作るといくつか不具合も起こります。
完璧を求めると、すごく大変なので、どこかで手間と出来上がりをの折り合いをつける必要が有ります。

まずは、あまり気にならない(老眼では気が付かない!)部分はそのままにして、仕上げる方法をご紹介します。
パンと一緒に飾ったり、アクセサリーにするには十分な仕上がりになります。

※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。

今回は日清アソシエイツさんの立体型を使用しました。3種類販売されていたので、3種類とも作ってます。

今回は日清アソシエイツさんの立体型を使用しました。
入手しやすいシリコン型でジャム瓶って意外と少ないですね。

使用したのは、

(1)ジャムびん 立体型
   六角形の瓶です。大と小(ほかの2つの大と中と同じぐらいの大きさ)の2種類が作れます。

(2)ジャムびん 四角 立体型
   四角形の瓶です。大、中、小の3サイズで、特に小は1/12縮尺なので結構小さいです。

(3)ジャムびん(丸) 立体型
   丸い瓶です。(2)の四角と同じく大、中、小の3サイズで、小は1/12縮尺です。

今回は、大きさをそろえて、6角形の小、四角形の中、丸の中を作成します。

製品としては、六角形が少し古い製品の様で、蓋の表現等がややバランスが悪いかなと思いました。

本体の部分を合わせる際には、透明プラ板で挟んで均等に力がかかる様にします。

日清アソシエイツさんの立体型は、瓶本体の型の部分は、外側が2分割、内側が1つの3つのシリコン型からできています。
蓋の部分も2つの型に分かれています。これに瓶の底の型が加わって6つのシリコン型からできています。

外側の2分割された部分を合わせておいて中にレジンを流し込むのですが、手で持っているわけにいかないので輪ゴムで止めておきます。
シリコン型は弾力のある素材なので、均等に力をかけて合わせないとシリコン型の形が大きく変形してしまいます。
そのため、シリコン型の両側を厚めの板で押さえるようにします。

素材にUVレジンを使うので、紫外線を通す素材で作る必要があります。
そのため、透明プラ板(1.7mm)をシリコン型の外側と同じ大きさに切って外側にあてています。

UVレジンを流し込んでパーツを成型します。UVレジンに気泡ができないように気をつてください。

それぞれのシリコン型にUVレジンを流し込んで、UV照射器を当てて成型できたものが以下の写真です。
気泡もなく、きれいに作れました!!

本体の部分は1/3ぐらいまでUVレジンを流し込んで、内側の部分を差し込むと丁度いい感じでした。少しあふれさせた方が、多くな気泡ができないです。

ところで、UVレジンでミニチュアやアクセサリーを作るときは、気泡が入りやすいですよね。
ミニチュア作家さんやアクセサリーの作家さんも色々工夫されているようで、ネットを見ていると気泡をとる方法に3つぐらいやり方があるようです。

1)レジン自体を温める方法。レジンは低い温度だと粘りが強いので空気の泡がなかなか消えないのですが、50度ぐらいに温めるとサラサラになって気泡ができにくくなります。また、つぶすのも簡単になります。あと、サラサラになるので、シリコン型のすみまで入りやすくなる利点がります。
温め方としては、レジンを別の容器に入れエンボスヒーターで温めることが多いのですが、エンボスヒーターを持って熱風あてるのが邪魔くさいのと、均等に温まらないので、忍耐が必要な方法だと思います。(忍耐力の無い私はこの方法をやったことが無かったです)

2)エンボスヒーターで泡をつぶす方法。これは、エンボスヒーターで熱風をできた泡に直接あてて、泡の中の空気をを膨張させて破裂させることで気泡を取る方法です。アクセサリー作りでは効果があるのですが、今回のシリコン型のような形状だとそもそも熱風が届かないので、使えない方法です。

3)真空脱泡をする方法。UVレジンの周りを真空にして空気を吸いだしてしまう方法で、工業製品の生産では一般的な方法です。
工場とかだと真空にする装置があるのでできるのですが、一般家庭ではそんなものは持てないので、簡易的に「真空おひつ」でやるということが多いです。
私も持っていてやってみたことが有ります。真空には程遠く、気圧が少し低くなるという程度なのですが、シュポシュポと空気を抜いて1時間程度置くと結構効果はあります。一つ注意点は、ジャム瓶のようにレジン単独だと良いのですが、ジャムの様にレジンと粘土を混ぜている場合には粘土の中の空気が出てきてひどいことになります。

で、今回、この記事を書くために私が使った方法は、1)のUVレジンを温めてサラサラにして流し込む方法を使いました。
ただ、温め方を改善しました。それが、今回の記事を書いていて発見した方法で「山善の食器乾燥機」を使う方法です。(山善の食器乾燥機については、以前の記事に詳細を書いてますので、興味のある方は以下のリンクからご覧ください。)
庫内を50度程度に温めてくれるので、20分ぐらい乾燥機の庫内に入れておくと(光が当たらないように箱の蓋等を被せておくことを忘れずに)丁度いい温度に温まってサラサラになり、気泡が取りやすくなります。このやり方、お勧めです。

写真の瓶本体、気泡はほとんど入らなかったのですが、ガラス瓶としてみると色々課題が有りますね。
その詳細となぜそうなるか、次の写真で説明します。

シリコン型+UVレジンの成型では、このような課題が出ます。

シリコン型の場合は柔らかいので、ほんの少しの力の入り具合や、UVレジンの硬化時の変形の影響で、瓶の表面や形状に影響が出ます。
また、シリコン型の表面がきれいな平面ではないうえに、硬化時にレジンの表面が不均等に収縮するので、表面が荒れた状態になります。

プラモデルを製造する金型は金属でできているのでこのような不具合はほとんど起こらないのですが。

で、起こる変形としては、

バリ:シリコン型の合わせ目の隙間にレジンがしみ込んで突起ができる
ずれ:外側の2つの型は、均等に力をかけても微妙にずれる。
荒れ:シリコン型の表面の凹凸の影響や、レジンの硬化時の変形等の影響で、レジンの瓶の表面がザラザラになる。
気泡:成型時に空気が入ってしまい、瓶に穴が開いてしまった状態。

などが有ります。それを図に表現したのが下の絵です。
ただし、相当オーバーに書いていますので、実際には「ずれ」や「荒れ」はじっくり見ないと判りませんが。

気泡ができたものは、瓶に穴が開いた状態ですので今回は使いません。
バリは、はっきりとした突起物なので、これはきれいにする必要が有ります。
これに対して、「ずれ」や「荒れ」は、後ほど紹介するコーティング剤を使うことで結構カバーできます。

ということで、今回は、気泡ができていない瓶を使って、バリをとって仕上げていきます。

バリを削るときは、周りに傷がつかないようにマスキングテープでカバーしましょう

2つ前の写真を見るとよくわかるのですが、瓶の外側は2つのシリコン型を合わせていますので、どうしても隙間にUVレジンがしみだしてしまいます。これをバリと言います。

このバリ、大きいものは手でちぎったり、ニッパで切ったりしますが、基本は金属やすりで削り取ります。
金属ヤスリは削る力が強い分、周りに傷をつけると大きな傷がついてしまいます。そうなると修復が大変なので、傷がつかない様にマスキングテープをバリの両側に貼り付けます。こうして、バリだけを大まかに削ってしまいます。

マスキングテープって、結構いろんな使い方ができて楽しいですよね。

ある程度、バリが無くなったらマスキングテープをはがして、細かい紙やすり(#600程度)で金属やすりの削り跡を均しておきます。
紙やすりで細かいところを削る場合には、割りばし等の(私は100均で売っている木のマドラーを使っています。アイスキャンディーの棒でもOK!)木に両面テープで貼り付けると使いやすいですよ。

なお、UVレジンを削るときはどうしても顔を削る部分に近づけてしまうので、削った粉末を吸い込みやすくなります。
必ずマスクはしましょうね。

底を接着するときに、瓶本体の傾きが出ない様にします。

バリの処理が終わったら、底を接着するのですが、このときにまっすぐ接着しないと、瓶全体がゆがんでしまいます。

底の接着手順は下の写真の右から左のとおり、底の部分を両面テープで固定して、その上に本体を置きます。
そして、瓶の口から、爪楊枝の先につけたレジンを側面につかない様にそっと入れて、底と本体の間に流し込んでいきます。

そして、UVを照射する際に、一番左の様に後ろと横に木片をあてがって、本体を垂直にして固定します。
そうすると、瓶がまっすぐになり、シャキッとした感じになります。

最後に瓶の底の余分な(はみ出た)UVレジンを金属やすりと紙やすりで削っておきます。

レジン用コート剤で細かい傷を埋めていきます。

ここまでで、下の写真の左側の様になっています。
バリをとった後が白くなってしまうのと、多少の段差や荒れが有るのがわかるかと思います。

これに、パジコさんのレジン用コート剤 宝石の雫[グロス]を塗れば右の瓶の様になります。
写真では細かい傷や表面の荒れが判りますが、肉眼ではほとんど気になりません。(特に私の様な老眼が入っていると(笑) )

レジン用コート剤は、薄く均等に塗ると良いです。
コツとしては良質の平筆にちょこっとつけて、塗り広げるとうまくいきます。

蓋は、バリを取ってタミヤカラーで塗装します。

本体ができたので、次は蓋です。

これ自体は、本体と同様にシリコン型で整形し、バリを削っていきます。
周りの、はみ出たレジンを受けるための部分にたまったUVレジン(丸い輪っか)は、手でもぎ取れなければニッパか爪切りで切り離します。

塗装は、プラスチック用の塗料を使用してください。タミヤカラーが水溶性で有機溶剤の刺激が少ないのですが、それでも有機溶剤なので、換気はちゃんとしてくださいね。

ここで、作っていてわかったのですが、六角形のジャム瓶の蓋の上下が少しずれてしまいます。
写真の様に、オレンジ色の線の部分がずれているので、オレンジ色の線の部分ぐらいまでレジンを塗ってつぎ足しました。
何回かシリコン型で型取りをやり直したのですが、同じ状況だったので、シリコン型の問題だと思います。
私の買ったものだけかもしれませんが、購入しようという方はひと手間必要ですので、ご注意ください。

そして、前回同様にジャムを中に入れて固め、ラベルを貼って完成です。まずは蓋をした状態。

そして、前回同様にジャムを中に入れて固め、ラベルを貼って完成です。まずは蓋をした状態で記念撮影をしました。

この状態だと、まずは、6角形の瓶の蓋がやや大きく丸みが有りすぎるのが気になりますよね。
やや古い製品だからでしょうか。

ラベルは今回も紙で作成しています。オレンジとブルーベリーはレーザープリンターで作成したのですが、イチゴもレーザープリンターで作成していたのですが、瓶の大きさと合わずインクジェットプリンターで印刷したら、ちょっと鮮明さに欠けますね。
次回は、もう少し工夫をしてみたいと思います。

ラベルの接着は、ミニチュアフード協会オリジナル接着剤の「ピタ」を使ってみたのですが、使い心地は良かったですね。
UVレジン自体、表面がそんなにつるつるでは無いので、特に荒らしをしていないのですが、ピッたり接着できました。

蓋を外した状態の写真も載せておきます。

蓋を外した状態の写真も載せておきます。

シリコン型が蓋を取り付けることを前提にしているのか、6角形は口の部分が厚すぎますね。
丸、四角は両方とも口の部分の長さが短く、ちょっと感じが違うかもしれません。

前回の記事で、「UVレジンで作ると蓋を開けた状態を再現できたりします。」と書いたのですが、そうするにはもうひと手間必要かもしれません。

次回は、もう少し手を入れて、今回気になった蓋や瓶の口、表面の荒れ等をもう少しリアルに改造してみようかと思います。