ざる蕎麦をちょっとこだわって作ってみました Vol.3(くじら亭のミニチュアものづくり)
数回にわたって作っている「ざる蕎麦」、今回はせいろの作り方を紹介します。
日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)でつくる松花堂弁当の箱とほぼ同じ作り方なのですが、教室とは、材料や仕上げ方を少し変えて、より漆塗りの雰囲気が出るようにしました。
ただし、加工の工程が増えるので、教室の材料・工程で作り慣れてしまい、よりリアルなせいろを作りたいという方向けです。
今回は木とプラ板の2種類で作ってみました。
※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。
目次
まずは、木でせいろを作ります。
まずは、ミニチュア作成で一般的によく使う材料である「木」でせいろの部分を作っていきます。
材料は、ホームセンター等で売っている1.0mm厚の木の板から切り出しています。
作り方は教室と同じですので、ここでは記述しませんが、
すのこの部分を切り出すのと同様、スコヤを使って角が直角になる様に切るとせいろの形が綺麗にできます。
下の写真を見ていただいても、木の表面は木目等で結構荒れていますよね。
そのまま絵の具を塗っても、「木で作っている」ことは判るのですが、ざらざらして漆塗には見えません。
そのため、この表面の荒れを消していきます。
紙やすりとサーフェイサーを使って、表面の荒れを抑えます。
今回、木の表面の荒れを抑えるために
1)240番、400番の紙やすりで大きな荒れをとって表面を整える。
2)プラモデル用のサーフェイサーを吹きつける
3)600番の紙やすりでサーフェイサーのツブツブを平らにする。
という手順を取りました。
サーフェイサーというのは、細かい粒子の入った塗料みたいなもので、
細かな傷や穴を消す(細かい粒子で埋める)効果があります。
写真のサーフェーサーは有機溶剤を使ったタイプなので、
換気の設備がしっかりしていないと、部屋中ににおいがこもります。
換気設備がない場合は決して室内では使わないでくださいね。
最近(今年の1月です!)クレオス社から、「水性ホワイトサーフェイサー1000スプレー」という、
水性のサーフェイサーが出ています。
私はまだ入手していないので推測でしか書けないのですが、
タミヤカラーと同じ性質の物質なので、におい等は相当ましなはずです。
もちろん換気は必要ですが、健康のためにこちらを使うことをお勧めします。
また、スプレーのサーフェイサーをかけるにはちょっとしたコツがあります。
私が下手な文章で書くより、タミヤさんから基礎講座の動画が上がっていますので、そちらを参考にしてください。
ユーチューブの「【サーフェイサー編】タミヤ 基礎からのプラモデル講座[解説:プロモデラー 長谷川伸二]」です。
2分30秒から3分30秒の間でサーフェイサーのかけ方が実演されています。
そして、サーフェイサーが乾いたら、600番程度の紙やすりでサーフェイサーのツブツブを平らにしたのが下の写真です。
このぐらい木目を減らすと、漆塗りの感じが出ます。
あと、すだれを置くために木片(写真の木の色の部分)も接着しておきました。
すのこを塗装していきます。今回は赤と黒で塗りました。
TOPの写真を見ていただくと判るのですが、赤い部分と黒い部分の境目が結構きれいに塗り分けられていますよね。(プチ自慢)
筆だけできっちり塗り分けようとすると難しいのですが、ある方法を使うとあっさり塗り分けができてしまいます。
ということで、順を追って説明します。
まず、赤い部分(多少はみ出てもOKです)を、「乾くと水で溶けない」、「軽くこすってもはがれない」塗料で塗ります。
例えば、タミヤカラーやプラモデル用のミスターカラー等です。
今回は、タミヤカラーを使っています。
筆で、普通に(あまりムラが出ないように)塗装しています。
(最後にニスを塗るので、神経質にならなくても良いですが)
この後、一日程度置いて完全に乾燥させます。乾燥不足だと次の工程で綿棒でこすると剝がれてしまいますので。
あと、塗装の際は、木製マドラーに両面テープで固定しているのですが、
マドラーとすのこの縁が接していると、その部分に塗料が染み込んだりたまったりしてムラになってしまいます。
それを防ぐため、木製マドラーとすのこの間に、マドラーの端っこをちょっとだけ切り取って作った小片を噛ませて、
すのこの底が木製マドラーから少し浮くようにしています。
そして黒の部分は、アクリル絵の具の黒で塗ります。
そして黒の部分は、アクリル絵の具の黒で塗ります。
最初に塗った赤を溶かさない塗料であれば良いのですが、今回は一番手ごろなアクリル絵の具で塗っています。
あまり筆ムラが出ないように、やや薄めに溶いたものを何回か(3回ぐらい塗ると下地が隠れる程度です)に分けて塗ってください。
この時、1回塗ってはドライヤーで乾かして、という風にやると、時間の節約と、絵の具を何回も溶かなくてもよいので良いですよ。
あまり薄めると、はじかれてしまうので、何回かやってみて適した濃さを見つけてください。
この時、赤と黒をきれいに塗り分ける方法(次の写真)で塗り分けます。
赤と黒の境目を綺麗に塗り分ける方法です。
実は、黒の絵の具を塗る際に、水を含ませた綿棒ではみ出た部分をふき取るだけです。
簡単でしょ。
赤を「乾くと水で溶けない」塗料を使ったので、綿棒でふき取っても赤は残ります。
そしてはみ出た黒だけがふき取られるので、きれいに赤だけが残ります。
とはいっても、赤の絵の具の表面の細かい凸凹の部分にたまって乾燥すると取れなくなるので、
黒の絵の具を塗ったら、はみ出た部分はすぐにふき取りましょう。
最後に全体に水性ニスを塗ります。
最後に全体に水性ニス(ツヤ有)を塗ります。
水溶性ニスはもともと筆ムラが少ない塗料ですが、今回は下の写真位ムラ無く塗る方法をお伝えします。
と言っても、大した秘訣は無くて、
1)木製マドラー(割りばしでも可)に両面テープで止める。
この時、3番目の写真で説明したように少し浮くようにします。
2)ニスは薄めておきます。(ニス:水=1:1程度)
3)一度たくさん塗らず、平筆の半分程度に軽く含ませる程度で塗ります。
4)全面が塗り終わったら、ドライヤーで乾かします。
5)1)~4)を3~4回繰り返します。
こうすると、ムラが無く塗ることができます。
プラ板でも同じやり方で制作しました。
プラ板でも同じやり方で制作しました。
材料は、おなじみタミヤの1.0mm厚のプラバンを使用しています。
作り方も教室で習う方法と同じです。
プラ板は表面がつるつるなので、「木」の時の様に、紙やすりやサーフェーサーは不要です。
この後、木で作ったすのこと同様に塗装します。
そして、二つを並べてみました。
木でもプラ板でも、ほぼ同じ感じで仕上げることができます。
ただ、木の方が表面を整えなければいけない分だけ手間と時間がかかります。
私はプラ板に慣れているので、プラ板で作るほうが楽ですが、
この記事を読まれている方も、慣れた方で作ってみられたらと思います。
次回は、やっと本題である「そば」を作っていきます。
(ミニチュアフードって、食べ物そのものより食器・容器が大変ですよね)
次回詳細を書きますが、結構そばの色を出すのに苦労しました。
あと、ざるそばの盛り付けも意外と難しくて、
適当にやると「団子」感が出てしまいまい、
ちょうど水でほぐす前のコンビニのざるそばの様になってしまいます。
ということで、次回もよろしくお願いします。
-------------------------------------------------------------------
前後の記事