ざる蕎麦をちょっとこだわって作ってみました Vol.4(くじら亭のミニチュアものづくり)

3回にわたり、せいろ部分を作ってきましたが、今回はそば本体を作り出します。

本物の作り方に立ち返ることを基本にしているくじら亭なので、まずは「麺」の作り方を調べてみました。
WikiPediaで「麺」で検索したところ、成形方法ごとの主な麺の分類が判りました。

薄く延ばし包丁で細く切る(切出法) - (日本の)ラーメン、うどん、蕎麦切り、沖縄そば、烙麺、切り麺
両側から引っ張って細長い紐状にする(撚延法) - そうめん、稲庭うどん、中国の拉麺、掛麺、ビャンビャン麺、中央アジアの拉条子
小さな穴をあけた容器、器具に入れて押し出す(押出法) - 六兵衛、冷麺、ビーフン、スパゲッティ、マカロニ、ソフトスパゲッティ式めん、日本のラーメンやそばの一部、中国の蕎麺、酸湯子、スリランカのイディアッパなど
生地の塊を削る - 刀削麺、撥魚
小さく切り分けて成型する - 耳うどん、中国の猫耳朶、麺片、イタリアのコンキリエ
薄く延ばして型で抜く - イタリアのファルファッレ

うどんやそばは包丁で切っているので、断面は四角形なんですね。
ラーメンや、ざる以外のそば・うどんは、だしの中に入っているし上に具がのっているので麺の断面はあまり気にならないのですが、ざるそばの様に麺がそのままの場合には、印象が違ってしまいそうですね。
今回は断面が四角になるように、蕎麦切りと同じ作り方をしていきたいと思います。

最初の難関はそばの生地の色ですよね。

そばの生地の色って、結構難しいですよね。

紫?黄色???という感じなのですが、私はオレンジを使っています。

写真の様に、白をたっぷり、その5/1ぐらいのオレンジと、オレンジの1/3ぐらいの黒を入れています。
混ぜながら色味を見て、多少赤か黄色を加えます。

白をたくさん入れるのは、細く切った麺が透けないようにです。
絵の具が少ないと、透けてしまって糸こんにゃくみたいに見えてしまうので。でも、あんまり絵の具を入れすぎると、塗装をした作り物の様になってしまいますけど。

透ける感じの調整って大事で、例えば大根が判りやすいのですが、ほんの少し透ける状態だとみずみずしく見えますし、もう少し透けるようにすると煮たように見えますよね。

そばの生地の色はこのように分析しました。

そばの色にオレンジを使ったのは、「感」ではなく(そんなに色彩感覚が良くないので)、パソコンに頼って決めました。

私がやった方法は、ネットでイメージに近い写真を見つけて、お絵かきプログラム(私はWindowsに付属しているペイントを使いました)で読み込みます。
そして、生地の色を選んで、色の詳細を見ます。
写真では、色合いが「17」、鮮やかさが「95」なのですが、この「鮮やかさ」をMAX(240)に設定すると、元の色が判ります。

色合いが「17」だと、オレンジ色が近い色です。

そこまでわかれば、あとは好みでで少し赤みか黄色みを加えていけばOKだと判ります。

私の様に色彩感覚がそんなに良くない人間は良い方法だと思っています。

こねた生地を薄く伸ばしていきます。

まずは、生地を薄く伸ばしていきます。
バウムクーヘン編(下にLINKをつけておきました)で紹介したように、クリアファイルで挟んで伸ばしています。
今回は、厚さの基準に0.2mmの厚みのタミヤプラペーパーを使用しています。

実際には粘土の弾力等もあり、0.3~0.5mmになってしまいます。

伸ばした生地をマスキングテープでカッティングマットに固定します。

伸ばした生地をマスキングテープでカッティングマットに固定します。

スコヤとカッターで切っていくのですが、切っていくときにスコヤを動かすとき、一緒に生地がずれると麺の太さが変わってしまうので、3方向を固定して麺がずれないようにしておきます。

0.3mm~0.5mm幅で切っていきます。

0.3mm~0.5mm幅で切っていきます。

本物のそばも、そば用包丁と駒板という道具を使って切ることが多いそうです。
その際は、駒板を生地の上に置き、そば用包丁を切り降ろします。そこで包丁をわずかに駒板側に傾けると駒板かわずかに動きます。
そしてまた包丁を切りおろす、というのを繰り返すそうです。
(YouTubeで「そばの切り方」等で検索すると、いくつか出てきます)

ミニチュアでも原理的には同じことをやってみました。
伸ばした生地(もちろん粘土です)の上にスコヤを置きます。スコヤの滑りをよくするため、生地にベビーパウダーを塗っておきます。
次に、下の写真の様にスコヤの台の部分をカッティングマットの下に当て、親指でスコヤの台の部分をカッティングマットの方にしっかり押します。これはスコヤがずれないようにです。逆に上から抑える力はそんなにかけなくても良いです。

そして、カッターで生地を切って下の写真の位置にカッターが来たら、スコヤを抑えている手の力を少し緩めて、カッターをわずかに左側に傾けます。
するとスコヤが押されて左に動きますので、再びスコヤをしっかり押さえて、カッターで生地を切ります。
この時、カッターを傾ける量を均一にするときれいに蕎麦が切れます。カッターの背中の部分を見て1~2mm程度動かす感じです。

参考のため、以前InstagamにUPした動画を紹介します。
当記事を書くときに、昔の作り方を改良しているので、少しここで書いているのと違う部分がありますが、カッターの傾け方の参考にしてください。
(生地を固定していなかったり、生地の色が違ったり、左利きなので左右が違ったりしています)

切り終わったら、マスキングテープの部分で切り離します。

切り終わったら、マスキングテープの部分で切り離します。

市販しているそばの乾麺の様な感じですね。

一本ずつより分けます。

そして、一本ずつより分けます。

左側に、一見して太すぎる/細すぎるものを仕訳しています。もったいないのですが、これはゴミ箱行きです。
使えそうな麺を、右側に置いています。
実際には、盛り付ける時にもう一度一本ずつチェックするので、あまり神経質にならずに分けています。

そばが打ち終わりました!! 今回は、ここまでです。

次回は、この麺をゆでて盛り付ける工程を紹介したいと思っています。

 
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