パンを、ちょっとこだわって作ってみました。Vol.10 ベーコンエピその2(くじら亭のミニチュアものづくり)
ブルーミックスソフトで型取りをした件、前回はさらりと記述していますが、実は結構大変だったんです。
型から出した粘土は、半分ぐらいは思った形だったのですが、半分ぐらいは廃棄(可能であれば修正)していました。
前回記事の後、廃棄率を下げるため、色々考察・改良したのですが、この内容って、皆さんの役に立つと思い、
今回はブルーミックスソフトの特性を書くことにしました。
※ 当記事は、ミニチュアフードをご自分でお作りの方に、実際の作品の作る過程をネタに、ちょっとした(やや高度な)テクニックや道具・材料の紹介をしたいな、と思って書いています。基本的な道具や材料の使い方までは当記事ではお伝えできないので、ミニチュアフードを作ってみたい、作り方を知りたいと思っている方は、日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎・応用)を受講されることをお勧めします。
目次
ブルーミックスソフトで型取りした時の失敗例です。
下の写真は、ブルーミックスソフトで型取りした時の失敗例です。
粘土が隅っこまで入っていなかったり、原型とは違った形になってしまっています。
なぜかの理由を考察しました。
粘土が隅っこまで入っていなかったり、形が崩れてしまったりしたのには、主に理由は3つぐらいありそうです。
1)粘土が少し硬かった。
最初に考えられる理由として、粘土が硬くて、詰めるときにブルーミックスソフトの型を押してしまっていたようです。
そこで、粘土をブルーミックスソフトより相当柔らかくして、もう一度試してみました。
結果、変形は半減したのですが、それでも変形はなくなりませんでした。
2)ブルーミックスソフト型自体の変形
次の理由は、型自体の変形です。
ブルーミックス型を作る場合、下の写真の(1)のように(黄色い半球の型を取ったと思ってください)、ブルーミックス型の縁が少し持ち上がってしまいます。この状態で原型から外すと(2)のようになっています。これを平面の上に置くと、持ち上がった縁が変形して、シリコン型全体を変形させてしまうんです。
3)粘土を詰めたときの反動
そして、結構変形の原因になっているのが、この粘土を詰めたときの反動です。(4)の形をしたブルーミックス型(赤線が原型)に(5)のように粘土(グレーの部分)を詰め込んだとします。すると、詰め込んが圧力でブルーミックス型が押されて、少し変形します。そして、詰め込んだ手を放すとき、ブルーミックスソフト型の反動と、手に粘土が引っ付いて引っ張られるというの2つの力で、(6)のように粘土が変形してしまうんです。
2)ブルーミックスソフト型自体の変形の対策です。
型自体の変形を防ぐため、こんなものを作りました。
ブルーミックスソフトの型を作成するときの「枠」に工夫を入れて、縁が弧ではなくまっすぐになるようにしていきます。
そのため、原型を接着しているプラバンとぴったりサイズのプラバンで枠を作っています。
内側は1.0mm厚のプラバンです。外側は0.5mmです。
下の写真の様に、枠の部分は2つに分かれるように作っておきました。
そして、これにピッタリの蓋を作っておきます。
そして、これにピッタリの蓋を作っておきます。
原型を接着しているプラバンと同じ大きさの透明プラ板(0.4mm厚)に持ち手と空気穴をつけています。
空気穴がコツでして、これを開けておかないと、気泡が入ったときに気泡を抜くことが難しくなります。
枠の部分は、マスキングテープで漏れないように継ぎ目をふさいでいます。
ブルーミックスソフトを流し込んで、型を作成します。
枠をマスキングテープで隙間なく組み立てて、ブルーミックスソフトを流し込み、蓋をかぶせました。
蓋はちょうど内側のプラ板に重なって、内部はきれいな長方形になっています。
下の写真の様に、少しだけ空気穴からブルーミックスソフトが流れ出す状態がベストです。
ところで、ブルーミックスソフトって面白いですね。
利点としては、
-液状なので原型の隅々まで入り込んで正確な型がとれる。
-柔らかいので、複雑な形をとっても、粘土を取り出せる。
-ブルーミックスに比べて、耐久性が高い
なのですが、欠点もいっぱい。
-まずは、結構入手が困難ですね。東急ハンズ以外だと、一部専門店と通販でしか手に入らないです。
-枠内いっぱいに入れるので、余分に使ってしまう。(結果として、1回あたりのコストが高くなります)
-柔らかいので、粘土の詰め方が難しい(この記事の後半で解決策を記述)
型が固まったので、取り出しました。
下の写真は、型が固まったので、取り出したところです。
多少のバリは有りますが、長方形のシリコン型ができました。
バリを取るときれいになりました。
バリを取るときれいになりました。
これを使うと、「2)ブルーミックスソフトの型自体の変形」を防ぐことができます。
続いて、「3)粘土を詰めたときの反動」を防ぐ詰め方を紹介します。
3)粘土を詰めたときの反動解決方法
3)粘土を詰めたときの反動解決方法は簡単です。
粘土を詰めるとき、最初は強く隅々まで押し込むのですが、最後に反動がでてできた隙間や変形を押さえていきます。
下の写真の様に、先端が丸くなっているへらが一番いいのですが、爪でも大丈夫です。
粘土を詰めた最後に、型が変形しない程度に粘土をやさしくへらでこすっていきます。
その際、粘土の粘着力で粘土が浮き上がらないように、へらに軽く水をつけてやるとうまくいくようです。
1日たって取り出したら、うまくできてました。
1日たって取り出したのが下の写真です。
全部成功していました。
ある程度粘土になれた方(例えば日本ミニチュアフード協会認定コース(基礎)を終了された方)なら、「この型+粘土の押さえ方」を使えばベーコンエピが作れそうですね。
ということで、ベーコンエピは作りたいけど、この記事の「ベーコンエピその1」のような「エポキシパテで型を作るのは苦手」という方の為に、この型を販売したいなぁと考えています。
パンドカンパーニュの発酵カゴの型の場合
ベーコンエピの前に、「パンドカンパーニュの発酵カゴの型」を販売したいと記事に書いていたのですが、まだ難しそうです。
当初ブルーミックス型を販売するつもりだったのですが、粘土を取り出すときに何回か強めに引っ張ったりしていると、ブルーミックス型自体が壊れてしまいました。私は原型を持っているのでまた型を作ればいいのですが、それを販売するわけにはいかないなぁと思って延期していたんです。
今回、ベーコンエピがうまくいったので、「パンドカンパーニュの発酵カゴの型」もブルーミックスソフトで作ってみたのですが、いくらやさしく撫ぜても、粘土自体を薄くしている影響もあり、きれいな形にならなかったり、下の写真の様に、模様がきれいに取れなかったりで、販売するにはもう少し工夫がいるなぁ、と思っています。
ちなみに「パンドカンパーニュの型」は、うまくいきそうなので、ベーコンエピの次に販売できればと思っています。
今回の記事は脱線してブルーミックスソフトについて記述してしまいました。
次回こそは、ベーコンエピに焼き色を付けるとともに、ベーコンを入れていきたいと思います。
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